重く淀んだ場所に過去存在したのは
投稿者:りー (118)
短編
2022/03/27
15:26
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私が大学生の頃です。
当時の私は1人旅を趣味としていて休日に日帰り旅行をよくしていました。
その日も休日を利用し少し遠くの町へ来ていました。
都市計画により綺麗に整備された町で流行りの食べ物や服の店が軒を連ねていました。
流行りのドリンク片手に目新しいものに心躍らせ町を闊歩しているとある場所で空気が重くなりました。
不審に思って辺りを見渡しても至って普通の町で何もおかしなものはありません。
でもここだけ重くよどんだ雰囲気でした。
特に怖がらせる様なものは何もありません。太陽の光もよく届いているのにです。
背中に冷たいものを感じ堪らず立ち去ると嘘の様に空気が軽くなりました。
あれは何なのかと気になり過去に殺人事件でも有ったのかと早速スマホで調べて見る事にしました。
すると何と先程の場所は昔遊郭だったのです。
売られた女性が辛い労働の末亡くなった場所です。
遊郭と聞くと花魁道中の様な煌びやかなイメージが強いですが実際は私が感じた様な重くよどんだ場所だったのでしょう。
きっと今でも亡くなった遊女たちの念があの場所に沁みついているのだと思います。
通りかかる人に私達の様な存在が居た事を忘れてくれるなと訴えているようで少し切なくなりました。
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