20年以上前の話です。
私が嫁いだ先は福岡県内にある半農半漁の田舎町。
いつも通りに出勤のために自宅から車を運転して緩やかな山道を下り、防波堤沿いの道を見渡せるところまで出てきました。防波堤の一番端の路側帯に車が停まっています。邪魔なわけでも危険なわけでもなく、ごくごく普通の車でよくあることなのに、何故か言い知れぬ違和感を覚えました。
私の進行方向とは逆向き駐車のため、横を通り過ぎる際、なんとなく車のナンバーと車内を見たところ、エンジ色のネクタイ姿の中年男性のようでした。
夕方、仕事を終えて帰宅した私に、姑が
「〇〇(私の夫)は消防でさっき出掛けたよ」
とのこと。
「行方不明か自殺者の捜索の山狩りですか?」
と応えると、不思議そうな表情の姑。主人は急いで出掛けたため、詳しいことは何も話していかなかったそうです。地元消防団は火災の消火活動等の他に、山間部で行方不明者発生等の連絡が入ると『山狩り』と呼ばれる人海戦術での捜索活動を行うこともあります。
「××の白い車でナンバーは1234、白のカッターシャツにエンジ色のネクタイをした中年男性で…午前中ならまだなんとか間に合ったかもしれないけど、恐らくもう…」
そう伝えると、ポカンと聞いていた姑は我に返った途端、
「ちょっとちょっと、何を言ってるの!?
誰が!?
もう一回言って!!」
慌ててメモを取り始めました。私の知人などではないこと、今朝気になってなんとなく見てしまったものの、不思議なことにその男性の顔立ちや表情は全く記憶に残っていないことなどを話していると、遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえ始め、その音が段々近づき通り過ぎていきました。ほぼ同時に、主人からは帰宅が遅くなる旨の連絡が入りました。
「綺麗なうちに遺体が見つかっただけでも」
駆けつけたご遺族からは地元消防団に感謝を述べられたそうです。
死期が迫っている者は表情や影が見えないことがあるといいますが、あの朝、見たはずの彼の顔や表情を記憶できなかったのもそのせいだったのでしょうか…
何故怖くないが多いんだ…怖いよ
霊感強い知人が言ってたけど、自殺する人は顔が見えなかったり、影が無いんだって
話の内容は怖くても、文章で引っかかって話が入ってこないからじゃないかな。
姑さんとの会話もわかりにくいし。
地方には自警の消防団というものがあり、その活動内容は火災の消火や啓蒙の他に行方不明者等の捜索があります。山間部などで行方不明者が出た場合には山狩りなどと呼ばれる捜索活動があります。
嫁の白い車1234 からの姑の会話
理解出来る人おるんかな?