公園で遊んだ女の子
投稿者:りー (118)
短編
2022/03/18
17:32
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私が子供の時の話です。
当時は学校から帰ると近所の大きい公園で遊ぶのが日課でした。
その公園は丁度隣の学区との中間地点にあり見知らぬ子供が居る事は日常でした。
時々仲良くなって違う学校の子同士が遊ぶ事もありました。
ある日複数の友人と遊んでいたところ見知らぬ女の子が「仲間に入れて」と話しかけて来ました。
「〇〇小学校の子?」と聞くと首をかしげ「違う△△小学校」と聞いた事の無い学校名を言いました。
引っ越して来たのかと聞いても首を振り私達は不審に思いました。
でも見た感じ良い子そうなので一緒に遊べば良いかと細かい事は気にせず遊ぶ事にしました。
その子の名前はとみ子と言い今時随分古臭い名前をつけるものだと思いました。服装も古臭く地味でした。
しばらく遊んでいたらその子の姿が見えません。
飽きて帰ってしまったのだと思い少し残念な気持ちになりました。
その後学校の社会科の授業で地域の歴史を学ぶ機会がありました。
すると昔この地域には△△小学校が実在していたのです。しかし戦時中の空襲で焼失してしまいました。
あの時のとみ子ちゃんは戦時中に命を落とした子だと思い至りました。
きっともっと遊びたかったのでしょう。
それであの公園で一緒に遊んで満足し成仏したのだと思います。
悲惨な戦争をやるせなく思うと同時に今はあの世で楽しくしているのかなと思いを巡らせました。
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