水を求める霊
投稿者:りー (118)
あれは私が看護師として病院で働いていた時の事です。
当時病棟に入院していた患者さんはほとんどが高齢者で余命いくばくも無い方ばかりでした。
頻繁に患者さんが亡くなり随分と気が滅入っていました。
ある日の夜勤で病棟を見回っていた所「水をちょうだい」と言う声を聞きました。
立ち止まるとそこは誰もいない病室で不審に思い中を確認しても誰もいません。
気分が落ち込む事が多かったので疲れているのだと思いその時は気にも留めませんでした。
しかしその後同じように水を欲しがる声を聞いた看護師が何人も現れました。
不気味に思い師長に相談しても気のせいだと取り合ってくれません。
仕方なくそのまま勤務を続けていたらある日お見舞いに来たご家族の1人から「あそこの部屋いるよ」と言われました。
ゾッとして思わず部屋の前で聞いた不気味な声の事を話しました。
その人が言うには水を欲しがっているから水をお供えして供養しなさいとの事。
すぐにでも試したかったのですが下っ端看護師が勝手な事は出来ずせっかくのアドバイスも実践できませんでした。
しかしある日師長も不気味な声を聞いたのです。
顔面蒼白な師長を前に頂いたアドバイスを話すと一目散に部屋へ向かい水の入ったコップを供えていました。
やっと信じてくれたかと言う呆れとやっと供養できた安心感でそっと手を合わせました。
後から知りましたがその病室は病気による脱水で亡くなった方が入院されていたそうです。
お供えの水が功を奏したようであれから声を聞いた者はいません。
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