椅子引きのイタズラ

未だに忘れられない

多田の断末魔みたいな声が響わたった

多田は

「ぎっ」

「いっ」

と言葉にならない音を口から発しながら

深く腰をパイプのうえに下ろしたまま

少し痙攣していた。

ベージュのズボンのお尻の辺りが見る見る赤黒く染まっていき

瞬くまに床に血が滴り落ちていった。

大げさに思えるかもしれないが本当にこんなに血が出るんだってくらい血が広がっていた記憶がある

俺はあまりの恐怖に体が震え

視界がぐにゃ〜んと曲がるようなそんな感覚を覚えた。

「何したーーー」

先生の怒号のような声や

女子生徒の泣き声が響きわたる中

俺たち生徒は全員廊下に出され

教室で待機を言い渡された。

他の教室からも先生や生徒が出てきて大変な騒ぎになり

教室で待機してる間に学校に救急車まで来た。

教室内でも女子生徒が泣いていたり

男子生徒が興奮気味に話をしていたが

俺は震えて机に突っ伏していた

ちらっと田中の方を見ると田中も同じように背中を震わせて机に突っ伏しているようだった

その日のHRで事故についてのアンケートが配られ

見た人がいたら状況を書いて欲しいという旨のことが伝えられた