空き家から吹いた風
投稿者:りー (118)
短編
2022/02/19
17:09
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私の地元に建つ一軒の古民家。
それは何時建てられたのか定かでは無く持ち主も不明です。
昭和の雰囲気が漂うその家は空き家で窓ガラスは割れ庭の草木は生い茂り不気味な雰囲気が漂っています。
当時高校生だった私は夏休み友人達にその話をしたら1人の子が「肝試しに行こう」と提案しました。
正直怖いものが苦手な私は遠慮したかったのですが他の友人達は乗り気で雰囲気に押されて行く事になりました。
肝試し当日は熱帯夜で肌に纏わりつくムワッとした空気が気持ち悪かったです。
友人達と敷地内に入ると生い茂った草木がまるで手の様に私の体を触りました。
この時点で恐怖心はピークに達し頻りに「もう帰ろう」と友人達を急かしました。
ですがすっかり盛り上がっていた友人達はどんどん奥に進んで行きます。
玄関に着きドアノブに手をかけましたが開く事は無くこれ幸いと「鍵が締まってるから無理。やっぱりやめよう」と訴えました。
しかし友人の1人は諦めきれず窓から侵入出来ないか試みました。
窓枠に手をかけよじ登ろうとした瞬間友人は悲鳴を上げ一目散に外に走り出しました。
皆もつられて悲鳴を上げ外に。
私は家に入ろうとした友人に何があったのか尋ねると中から異様に冷たい風が吹いて来たと言うのです。
熱帯夜なのだから自然ではありえません。
きっとあの家の中には何か立ち入ってはいけないものが有り風が吹いたのは警告だったのでしょう。
冷たい風の先に何が有ったのか未だに知る事はありません。
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