干からびた奇妙な種
投稿者:誠二 (20)
短編
2022/01/31
20:26
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俺の娘は花を育てるのが大好きで、暇さえあれば家内のガーデニングを手伝っていました。
ある時「あたしもお花のお世話をしたい」と言い出し、右手に握り込んだ奇妙な種を見せてくれました。
「なんだか変わった形ね」
「そうだな……」
どこで拾ったんだと聞けば近くの林というので、私と家内は快くオーケーしました。
その後娘は花壇の隅に種を埋め、毎日熱心に水をあげて発芽を心待ちにしました。
一週間ほど経過した頃、夜トイレに立った私は場違いな赤子の産声を聞きました。
なんだろうと思って外を見に行けば花壇の隅に花が咲いています。
「ひっ!」
それは異形の花でした。
花の中心には皺くちゃに歪んだ赤子の顔があり、おぎゃあおぎゃあと産声を張り上げていました。
芽を引っこ抜いて投げ捨てれば泣き声は途絶え、胸をドキドキさせながら家に帰りました。
もちろん何も知らない娘はショックを受けましたが、「虫が付いてたんだよ」と説明した所一応納得してくれたみたいでした。
後日、娘は俺の手を引っ張り種を拾った林に連れて行ってくれました。林は産院の裏手に面しており、おぎゃあおぎゃあと赤子の泣き声が響いてきます。
そういえばあの種はへその緒によく似ていました。
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