30年の月日を超えた帰宅
投稿者:りー (118)
あれは私が中学生の時です。
友達と話すのが楽しくてつい暗くなるまで道端でたむろしているのが日常となっていました。
その日も暗くなるまで話していたらふいに現れた若い女性に声を掛けられました。
「〇〇さんの家へはどう行くんですか?」と話しかけてきた女性はもうすぐ夏だと言うのにコートを着て冬の出で立ちでした。
顔は青白く寒そうでその人の周りだけ真冬の様な雰囲気を纏わせていました。
少し不気味に思いつつも場所を教えたらニコリと笑って会釈をして去って行きました。
その家のお客さんだろうと気にも留めていませんでしたが後日何気なく祖母にその事を話したら昔失踪した娘さんかもしれないと言うのです。
30年ほど前精神を病んでいた娘さんはある日張り詰めていた糸が切れたかのように家を飛び出してしまったそうです。
真冬の時期で雪が降り積もる中だったので雪に紛れて消え去ってしまったそうです。
それならば戻って来たのかと安堵したのも束の間、あの時見た女性は若い姿で30年も月日が経っているならそれはおかしいと思いました。
恐る恐るその家の人にあの日女性が訪ねて来なかったか聞いたところ誰も来ていないと言うのです。
しかし不可解な事があってインターホンを鳴らされたが外に誰も居なかったのだそうです。
娘さんが帰って来たのだと確信しました。
その後特にその家に不可解な事が起こったと聞かないのでおそらく帰宅出来た喜びで成仏したのだろうと思います。
記憶力の乏しい幽霊ですね。
自宅ぐらいは覚えとかないと!
↑冷静ワロタ