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心霊

津々さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

青い屋根の家
長編 2022/01/26 18:40 11,616view
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私の住む、北海道I市にはとても有名な心霊スポットがあります。一見、普通の一軒家なのですが、雪の季節以外はほぼ毎日誰かが肝試しに来るほど有名なところです。
その家の特徴は「青い屋根」で心霊スポットとして呼ばれる名前も「青い屋根の家」です。

この家は特に変わった特徴はないのですが、ただ霊園の向かいに立っています。
そんな青い屋根の家の云われなのですが、昔に新築で家を建てたばかりの頃に妻の不倫が発覚して旦那さんが自殺したといわれています。

その後も、何度も売りに出るのですが、格安という事もありすぐに買い手が決まりますが、また売りに出されるの繰り返しでいつからか玄関や窓にベニヤ板を張って完璧な廃墟になってしまいました。

私達は地元民だったので青い屋根の家のウワサは知っていましたが、逆に怖さも知っていたので肝試しには行きませんでした。

しかし大学生になった頃、地方から来た大学の友達Bがこの青い屋根の家のウワサを知り「行ってみたい」としきりに言うようになりました。なので私と地元の連れAの2人でBに青い屋根の家の怖さを教えることにしました。

私とAは「青い屋根の家は最低でも4家族が入居したけど4家族とも誰かが自殺か変死をしているんだ。そして、その霊を供養するために○○寺(除霊専門の寺)の住職が数日寝泊まりしたんだ。だが結局は住職が正気を失ってしまい逃げ出す騒ぎになったんだ」とBに話すと逆効果だったようで、Bは「YouTubeに持ってこいなシチュエーションじゃん」とノリノリになってしましました。

しかし私とAが何度も阻止した事もあり、その年は青い屋根の家には行く事はありませんでした。
ですが、翌年のお盆の時期に例年通り青い屋根の家のウワサが出てくるとBはまた行きたがり今回は「一人でも撮影しに行く!」と言い出す始末でした。そんな危険な事をさせられないと、仕方なく私とAは同行することにしました。

当日、夜の0時に突入することにしました。Bには「行くな、行くな」と止めてはいましたが、実際の所は私たちも入ったことはなかったので少しはワクワクしていました。

青い屋根の家の前にはすでにBはカメラ片手に待っていました。私はBに「本当に心霊動画になったらどうすんの?」と聞くとBは「心霊YouTubeになるでしょー」とまだお惚け状態でした。

いざ青い屋根の家の中に入ると、廃墟特有のホコリっぽさと異様な湿気が気持ち悪く、怖さを倍増させました。
Bは一人で色々な実況をしながらカメラを回していましたが、私とAは淡々と部屋の内部を見て回っていると、突然Aは「あぁ!?」という声を発し視界から消えました。

私は慌ててAの元に駆け寄るとAは腐っていた床を踏み抜いてしまい身動きが取れない状態になっていました。Aはバツが悪そうに「すまん。手伝ってくれ」というのですが、Aはよく言えば巨漢、悪く言えばデブなので、私一人では持ち上げられずBを呼びました。

私が大声でBを呼んだせいかBは慌てて走ってきました。そして事の次第を伝えAを二人掛りで引き抜きました。するとAは落ちた衝撃で釘を踏んでいて足は血だらけでした。

なので、肝試しどころではなくなってしまいAを二人掛りで担いで外に出て救急車を呼び病院に向かいました。幸い、Aのけがは大した事はなかったのですが、古い釘だったこともあり破傷風の危険がある事から数日入院することになりました。

その病院からの帰り道にBが突然「あぁ!!」と奇声を上げました。私はBに「どうしたのよ?」と聞くとBは「青い屋根の家にカメラ忘れて来た」というのです。なんでも、Aを引き上げる際に棚の上に置いて忘れて来てしまったそうでなのです。

その時すでに深夜2時を回っていましたが、時期的に肝試しに来る人が多くBのカメラを持っていかれる可能性があるため渋々カメラを取りに戻る事にしました。青い屋根の家は先程来た時より何故か禍々しい感じがしていましたが、私はBに「ダッシュで取ってこようぜ」と何度も念を押して取りに行きました。

しかし、小走りで室内に入ったものの異様な湿気というか説明できない何かが私たちに絡みつくような感じで恐る恐る前に進むしかありませんでした。

Bのカメラの所までとても時間がかかったような気がしましたが、カメラを見つけて取ってからは猛ダッシュで青い屋根の家を飛び出しました。私もBも汗だくで“ぜぇぜぇ”いうほど息が切れていました。あれだけ青い屋根の家に行きたいと言っていたBは「もう二度とここには来ないは」と言って家に帰りました。

すると家に着いてすぐにBから「俺達が居なくなってからもビデオは回り続けてたんだ。だから今から見てみるわ。なんか映っていたらまた連絡しまーす」と連絡がきましたた。
私は猛烈な疲労感と眠気ですぐに寝てしまいBに返事もしませんでした。

次の日、私は電話で起こされました。電話の相手はAで大きな声で「Bと連絡が取れないんだけど、なんか知ってるか?」と聞かれAに病院を出てからのことを説明し、私は「だからまだ寝てるんじゃないの?」と答えました。

するとAは「多分それはない。同じ学部の奴から連絡が来てBの部屋の玄関が開きっぱなしなっているから中を覗いたら部屋の中がメチャメチャでBの姿はなかったらしいんだ。で俺に連絡がきたわけ」というのです。
Bは学部寮に住んでいたので部屋の異常さで寮母が心配して探していて、Aの所にも連絡が来たそうです。

私とAは相談して昨夜の事を正直に寮母に話しました。するとすぐにBは見つかりました。
見つかった場所は青い屋根の家でした。Bは青い屋根の家の中でブツブツ何かを唱えるように座っていたそうです。

その後、私とAは警察と大学に簡単な事情聴取をされましたが、何事も正直に答えボランティア活動を行うことを条件にお咎めなしになりました。

しかし、あの日以来、Bは今現在も精神病院に入院したままです。そしてBは私に「ビデオを観る」といった記憶も残っていませんでした。私とAの中ではそのビデオに何かが映っていてBの精神をおかしくしたのだと思っています。

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コメント(2)
  • 有名な廃墟ですね
    以前遠目でみたことがありますがベニヤで完全に塞がれている感じが異様でした

    2022/01/27/09:21
  • どうやって入ったんや?

    2023/04/05/03:36

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