ひとりでに揺れ続ける不思議なブランコの話
投稿者:塁 (4)
さて、ここからは後日談になるのですが、結果として、その公園は取り壊しになってしまったようです。
かなり近所なのにそこを通ることは今でも滅多に無く、あれから10年ほど経ちますが、今その公園に何があるのかは分かりません。
なんでも、父が知り合いにその公園の話をしたところ、その辺の住宅ではいわく付きだったようです。
子供が怪我をしたりすることも多かったようで、周りの家は小学校の近くなこともあって子供が多いそうなのですが、あまり公園では遊ばせていなかったらしいです。
市の方に問い合わせが多かったからなのか、噂が大きくなってしまったからなのかは分かりませんが、私たちがそのブランコを見てからそんなに経たずに取り壊されてしまったようでした。
子供が怪我をしているのですから、良くないものもきっといたのでしょうし、もしかしたら私たちに敵対心を向けていなかっただけであのブランコが悪いものだったのかもしれませんが、個人的にはなんだか寂しい気持ちもありました。
そのブランコに乗っていた何かは、きっと寂しくて私たちに姿を見せたのだろうと勝手に思っていたものですから、むしろ可哀想に思ったくらいです。
怪我をした子供の家庭からしたら迷惑な話ですよね。
公園とブランコ、という組み合わせ的に、私が子供を連想してしまったのもあるかもしれません。
ですが私には、その得体の知れない存在にも何か伝えたいことがあったのだろうと思えてしまうのです。
もしかしたら小さな女の子だったかもしれませんし、大きなおじさんだったかもしれません。
ですが、そのブランコを見ている不思議な時間は心穏やかなもので、風の音くらいしか聞こえない閑静な空間で、目の前にあるブランコが揺れる音だけが聞こえるその時間が私は何故か好きだったのです。
そしてきっと、その穏やかな時間をくれるその存在が、悪いもののようには見えないのです。
そういった存在は、公園と一緒に消えてしまうのでしょうか。
今となっては行くことはないので、分かりませんし確かめようもないのですが。
もしかしたら皆さんの近くにも、意外なことにも不可思議な存在は沢山いて、存在を示しているのかもしれません。
私が気が付いていないだけで、ブランコ以外にもなにかあったのかもしれません。
幽霊、という存在も、馬鹿に出来ないのかもしれないですね。
不可思議な経験をすることはたまにあるのですが、怖くない不思議体験はなんだかおかしな気分だったので、今回は書かせていただきました。
あまり怖くはなかったかもしれません。
ですが少しでも、この不可思議さと、この夜の目に見えないものの存在が、そしてその存在が何かを伝えたいのかもしれないと思う心が、誰かに届けば幸いです。
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