予知と肝試しと悪寒の話
投稿者:赤壁二世 (13)
チョロチョロと水が流れる音の中に、砂利を踏み込む5人分の足音が目立つ。
「なんかあったー?」
「なんもー」
それぞれが好き勝手に周辺を見学していて、C子の問い掛けにAが大声で返していた。
どんだけ遠くまで行ったんだと顔を向ければ、本当に視線の端まで遠い場所にぼんやりと光が浮いていたので思わず、
「あんま遠くいくなよー迷子なるぞー」
と俺は声を張った。
「声でかすぎ」
すると後ろから頭を叩かれて振り向くとBがいて、その隣でAが笑っていた。
そこにC子とD子が駆け寄ってきて、
「あんま離れんでよ」
「マジ怖いんですけどー」
と、本心から怖がってないのが丸分かりの様子で女子二人は楽しんでいた。
じゃあ、あの離れた位置に見えた光は誰のものだ?と思った俺は再び視線を向けが、そこは何もない暗がりが広がるだけだった。
「何もねえし、帰るか」
「寒いし帰ろう。あとコンビニで唐揚げ君買おう」
AとC子のお気楽カップルに追従する形で階段を上がる俺は、嫌な気配を感じて一度振り返るが何もいないを確かめまた歩き出す。
再び橋へ戻り、今度は20分の勾配が続く山中を下っていく。
あああああああ
その途中、妙な声が聞こえたと思うと、遠足気分の俺達の足並みは同時に止まり、剣呑な空気感に支配されたように全員が直立不動となった。
橋の方角から女性に近い甲高い絶叫が微かだが全員に聞こえたようで、女子に至っては抱き合って震えている。
「え?」
「誰もいなかったよな?」
「あんだけ見回って見逃すわけないだろ」
Aの言葉の意味を理解したBがすぐに否定に入る。
そう、あれだけ周辺を散策しておいて他に肝試しに来た奴がいたら誰かが見かけていた筈だ。
あの場には俺達以外誰もいなかったんだ。
それに、この一本道に車一台通っていない。
焦燥感に駆られ、自然と早足になる。
「ねえ、誰かイタズラでやってんじゃない?」
「ユーチューバーとか?」
たまにそうゆう奴いてるよね!
ホモ系ではなく、預言者みたいなの。
アッー!