子供会のキャンプで行方不明になったおじさん
投稿者:津々 (42)
私が子供の頃の話です。
今から十数年前になりますが、当時は子供の数も多く住んでいる地域ごとに子供会という集まりがありました。その中でも、一番人気は夏休みに行われる「キャンプ」でした。みんなでカレーや焼きそばを作りキャンプファイヤーを囲んで学校のことや友達のことを話したり時には相談したりと今思えば社会のコミュニティーを学んでいたと思います。
しかし人気の理由はそこではありませんでした。晩御飯後に行われる肝試しがみんなの楽しみでした。
もちろん興味のない人や怖いのが苦手な人は参加しませんが、当時は肝試しを楽しみにしている子供が多かったと思います。
しかし今年は毎年使用しているキャンプ場とは違うキャンプ場でした。すると毎年、肝試しで怖い話を担当してくれているおじさんが「今年の肝試しが一番怖いかもな」と自らハードルを上げるほど怖い話を用意してきていると、その時の私たちはよろこびました。
夜になり肝試しの時間が始まりました。例年通り子供たちから怖い話をしていき、最後に例のおじさんが話をするのですが、話を始めようとした時、何回も念を押して話してきました。
「これからする話はここで本当にあった話だから聞きたくない子はテントに戻りなさい」
そう話すおじさんの顔は真剣でどれほど怖い話かワクワクしていました。
しかしおじさんがしてくれた話は当時から流行っていた「山姥(やまんば)」でした。少し違う所は“結婚していたが浮気をされていた女性“という導入部分ぐらいでした。私たちは何だか拍子抜けしましたが、その後に2人1組でキャンプ場を1周する肝試しがスタートする時におじさんが「さっき話した婆さんな。この奥の山に住んでるんだよ。家もまだ見えるから気をつけてな」というのです。私たちは山姥の話は作り話だと分かっていても恐怖心が湧いてきました。
みんなその恐怖心と戦いながらも肝試しが終わり余韻に浸っているとおじさんが「家を見に行きたい人」と言い出し半数近くの子供が手を上げ見に行くことに…
山姥の家は変哲もないただの物置の様な小屋でした。
しかし突然、藪の中から草をかき分けながら走ってくる音が聞こえてきました。私たちはおじさんの演出で子供を怖がらせるために誰か大人が山姥として走って来ていると思っていましたが、おじさんは真剣な顔で「逃げろー!」と叫びました。
その時の顔と声にビックリしてみんな走ってテントまで逃げました。テントで待っていた大人たち説明しました。「○○のおじさんが山姥に襲われたー」大人たちは理解していませんでした。この時の大人の様子から藪から出てきたのは本当に得体のしれないモノなんだと思いました。おじさんはいくら待っても戻って来ませんでした。大人たちで捜索もしましたが見つからず翌朝まで待って警察に連絡して大捜索されましたが、今現在でも行方不明中です。
そして、キャンプから帰って来て写真に変なものが写っているのに気づきました。肝試しに行く前に撮った一枚なのですが、おじさんの後ろに誰の保護者なのか分からない「おばあちゃん」が写っていました。最後に、おじさんが行方不明になったせいか分かりませんが、翌年からキャンプの行事はなくなりました。
ガチなら不気味すぎる