気配

いま目の前にいる職場の同僚が、テレビの心霊番組で得た知識を、仕事中だというのにそれはそれは楽しそうに話してくる。

彼女曰く「怖い話は大好きなんだけど、霊感とかまったくないんだよね」とのこと。

「ほら、よくシャンプーとかしてる時に背後に気配を感じるとか言うじゃない？
あれ、実は気配がすると思った時点ですでに目の前にいるらしいよ」

今もまったく何にも感じないんだけどねーと呑気に笑う同僚と、先ほどから気配しか感じていない私。

あながち、その話に間違いはないなと思った。

目の前の同僚の背後、つまり私の目の前に。

この世のものではなくなった、男の人が立っていたから。