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ヒトコワ

ぴさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

ストーカーの怪異
長編 2021/11/28 23:47 6,535view
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私には昔付き合っていた人がいました。

その人とはホームセンターのアルバイトで知り合い、そこから仲良くなって一時は恋人のように接するようになりました。

ただ、その頃から異常なところが見え隠れしていたのです。
なぜか私の交友関係をチェックしたがり、私が誰かとどこかに行くときはすべて把握したがり、私の行動をすべて管理しようとするのです。

最初はそれも愛かなと思ったりもしましたが、途中でさすがに気持ち悪くなりました。

スマホを勝手に覗かれたりはまだ許せる範囲でしたが、友人に勝手に連絡されたり、男友達の連絡先を知らない内に消されたりして、彼の度が過ぎた束縛に耐えられなくなりました。

これが原因で彼への気持ちはさっと冷めていき、私は別れを告げたのでした。

しかし、彼はそれが許せなかったのか別れがたかったのか分かりませんがいつしか私をストーカーするようになりました。

一時は本当に毎日のように私の家の周りをうろついていて、警察騒ぎになりかけたことあったのです。

身の危険を感じて、私は心機一転して県外で一人暮らしをすることを決めました。

それまで住んでいた地元から遠く離れた場所に住むことになり、私は彼からやっと解放された思いました。

実家に連絡したら、ストーカーだった彼を最近見なくなったという朗報も耳にして、ほっと安心していたのです。
やっと自分のことを諦めてくれたのかなと心の底からほっとしました。

両親たちは私の身を案じ、周りの人が娘がどこに行ったのか聞いても、近所の人どころか親戚にすら一切口を割らないようにしてくれました。

だから誰からも私の行方を知られることはないのです。

おかげで、本当に伸び伸びと安心して、日々の生活を楽しんで暮らしていました。それが変わったのは丁度、一人暮らしを始めて半年くらい経った頃だったと思います。

私は仕事の帰りの駅で、ふと気になる視線を感じました。

周りを伺ったのですが、私を見ているような人は見つからなかったし、誰とも視線が合いませんでした。

しかし、しばらく経ってもなんだかじろじろと見られているような感じがして、落ち着きませんでした。

私は一度駅前のコンビニに寄って、お弁当を買って帰ることにしました。

普段は自炊しているのですが、その日はちょっと仕事で疲れていたのもあります。

それ以上になんとなく視線を感じることが怖くて、なんだか人がたくさんいる場所で落ち着きたいと思ったのです。

しばらく食べたいものを物色して、私はお会計を済ませてコンビニを出ました。
家までおよそ5分くらいの場所です。

私はいつも通り徒歩で自宅まで帰ることにしました。

しかし、私は誰かにつけられていることに気が付いたのです。

私の歩く足音と少しずれて後ろから誰かの足音がしました。

「え?」と思って振り向いたら、看板のところに誰かがさっと隠れたのが見えたのです。

怖くなって速足で歩いていたら、また後ろから同じように自分の足音に重なったように別の足音が聞こえました。

ぞっとしました。振り返ってもまた誰もいないし、私の頭はパニックになりました。

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