奇妙なマンションの外階段
投稿者:峰 (38)
知人Aから聞いた話である。
10年ほど前、Aはとある奇妙な夢を繰り返し見ていたという。
夢の内容はいつも同じだ。
気がつくとAは、見知らぬマンションの外階段を昇っている。
他に人影はない。空を見ると真っ暗で、おそらく真夜中であろう時間だ。
真っ暗闇の中、非常灯だけがぼんやりと光る外階段を、たった一人で上に上に昇っている。
昇りながら、Aは、ここは一体どこだろうと考えている。
マンションの外観も、外の景色も、見たことがない。記憶にない。
Aはすでに階段の半分以上を昇っており、下を見ると地上がはるか遠くに見える。だが、上を見上げるとまだだいぶ先が遠い。
何階建てかはわからないが、かなり大きなマンションなのだろう。
階段は古く、雨風に晒されて、ところどころが錆び付いている。
Aが踏みしめるたびに、ギシリギシリと嫌な音がする。
ただ、夢の中だからか、風や匂いは全く感じないという。
そのまま夢うつつで階段を昇っていると、ふと下から人の気配を感じる。
下を見ると、はるか下の方から、カンカンカンカンと階段を駆け上ってくる音が聞こえる。
実際にはそんな音聞こえないのかもしれないが、夢の中のAにはハッキリと聞こえるのだと言う。
思わず足を止めてじっと下を見ていると、やがて、階段を駆け上ってくる人影が見えるのだそうだ。
カンカンカンカン!
カンカンカンカン!
猛スピードで昇ってくる人影。
その人物の姿が、ある瞬間、やけにくっきりと認識できる。
それは、中年の女だ。
満面の笑みを浮かべた女が、真上にいるAに向かって顔を向けたまま、物凄いスピードで階段を駆け上がってくるのだ。
Aはギョッとして、大慌てで女から逃げるように階段を昇り始める。
途中の階で止まり、マンションの中に入ろうとするのだが、非常扉はなぜか施錠されていて入れない。
急いで次の階に向かうが、やはり扉が開かない。
次の階も開かない。
次の階も開かない。
そうしているうちに、女はどんどんAに追い迫ってくる。
Aは半狂乱で階段を駆け上がる。息が切れて足が重くなってくる。
予知夢の一種なのかな?
予知夢に近いですね。
こういう人と出会うというメッセージだったのかも┅?