誰もいない釣り場で、背後から不気味な女性の笑い声が…
投稿者:BELL (1)
この話は、今から20年前のお話です。当時、私は東京の理容店での見習いを終え、地元の九州に帰ってきました。
東京にいるときにはまった、趣味のシーバスルアーフィッシングを地元の友人Nにも教え、暇さえあればその友人Nと夜釣りに行っていました。
ある日、いつものように友人Nに「今日も釣りに行かないか?満潮が夜中の3時だから2時頃に着くようにしたいんだけど?」と誘ったのですが、友人Nは「いや、明日仕事が早いから今回はやめとくよ」とそのときは断られました。
私は、「じゃー、今回は一人で行ってみるよ。もし、釣れたら連絡するから」と友人Nに伝えて、一人で夜釣りに向かうことにしたのです。
そのときの釣り場のポイントは、M市の某河口。初めて行くポイントでした。時間どおり夜中の2時に到着し、初めてのポイントで大物が釣れることに期待しながら準備をしていました。
そのポイントは河口から一つ目の橋の下で、いかにも釣れそうな雰囲気を醸し出していました。
堤防から下りて、橋下のテトラの上からルアーを数回投げているうちに、こう思えるようになったのです。「何かこのポイントは不気味だな…誰か早くこないかな…」と。
そう思っていると、振り返って堤防の方を見上げてみると、二人の人影がこっちの方向を見下ろすように見ていました。
私は心の中で「よかった…誰かきてくれた!」と少し安心した気持ちになりました。しかし、いつまでたっても堤防から下りてこないのです。
不思議に思い、堤防の方を見上げて見ても二人の人影は直立不動のまま。橋のライトで逆光ではっきりと姿は見えません。
そうこうしているうちに、その人影はいつの間にか消えていました。あわてて堤防まで登り、周りを見渡しても誰もいなかったのでした。
少し不安になりながらも、気を取り直しまた釣りに専念していると、ある異変に気づいたのです。
背後から何やら女性の声が聞こえてきます。よく良く耳を澄ますと「フフフッ」と不気味な女性の笑い声が聞こえてくるのです…
その声は、徐々に近づいてきます。「フフフッ、フフフッ」と近づいてきます。
その声がすぐ背後まできた瞬間、「これは絶対にヤバい!この場から離れなければ!」とその場を猛ダッシュで逃げていきました。
朝方になり、友人のNが「お前、何だよ!朝方3時に電話してきて、何も言わないから!電話切っちゃったよ!」と電話してきたのです。
私は、友人Nに電話していません。友人Nに、昨晩の出来事を説明すると「だから、電話越しで慌ててるような音がしてたのか!かなり慌てて逃げてるような様子だったからな!」と言っていました。
ここまでの話は20年前の話。まだ、私が独立する前の話です。
現在、私は独立して理容店を経営しています。
中には、私と同じシーバスルアーフィッシングをしているお客様もいらっしゃいます。
ある日、お客様に「最近は、釣りに行かれていますか?」と聞いてみると、お客様はこう応えたのです。
「今、釣りに行っていないんです…だって後ろで女の人がフフフッと笑ってくるんですもん…それから怖くなったので、釣りに行っていないんです…」
それは、まさに20年前に私が体験したことと全く同じことを経験していたのです。
ポイントも同じ、M市の某河口。あの河口ではいったい何があったのでしょうか。
私もそのお客様も、それから釣りをやめたのは言うまでもありません。
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