壁を通り抜ける女
投稿者:ホルモン (2)
私は高校性の時に吹奏楽部に所属していました。
その吹奏楽部では毎年夏休みに1週間ほど、高原で泊りがけの合宿がありました。
あれは高校2年生の合宿での出来事でした。
宿泊は高原に幾つも建っている小さなコテージに、部員が4~5名ずつ分かれて泊まるのですが、その日も練習が終わって夜になり、部屋で仲間と寛いでいました。
夜の9時頃だったと思います。部屋の明かりは付いていて友達と床に座ってくつろぎながら他愛のない会話をしていました。
その時でした。
コテージの左側の壁から、スーッと髪の長い女性が壁を通り抜けて部屋に入ってきたのです。
私は身の毛がよだって思わず大声をあげてその女性を指さしました。
すると私の声に驚いた他の仲間も同じ方を見て、同じく大声をあげて驚いているのです。
その女性はコテージの左側の壁を通り抜けて部屋に入ってきて、部屋をを横切るようにまっすぐ進み、そのまま右側の壁を通り抜けてコテージの外に消えていったのです。
結局、その時同じ部屋にいた全員がその一部始終を見ることになりました。
しばらくの静寂の後、わたしたちは身震いしながらお互いに顔を見合わせました。
「いま、見えたよなあ?」
「見えたよ。何あれ?」
そんな事があったので翌日に顧問の先生に報告しました。
顧問の先生は、この高原ではしょっちゅう同じような出来事があるので珍しいことではないと言っていました。
あの日見た女性の正体が何なのかは全く分かりません。
でも同じ部屋にいた他の仲間も同じものを見たので、何かがいたのは事実だと思います。
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