急に夫がよそよそしくなった原因

昨年の出来事です。
なぜか急に、夫が朝だけよそよそしくなりました。
毎朝起きたら「おはよう」と挨拶をしあうのが日課だったのに、私がおはようと声をかけても、「ああ……うん」と気まずそうに目を逸らすのです。
しかし、様子がおかしいのは朝だけ。夜は普通に仕事から帰ってきて、変わりなく過ごします。休日も日中はいつも通り。おかしな点はありません。

一週間ほど経ったころ、どうにも気になった私は直接夫に尋ねてみました。
「最近、朝だけよそよそしいよね。何かあったの？」
夫は明らかにギクリとしました。言いにくそうにモゴモゴしていましたが、やがてこう切り出しました。

「あのさあ、いつも夜、トイレとかに行ってる？」
「え？別に、夜はずっと寝てるけど……」

「そうだよなあ……やっぱりおかしいよなあ……」

どういうことか聞いてみると、夫はこう続けました。
一週間ほど前から、夜中の2時ごろ、ふっと目が覚める。横を見ると、妻が布団で寝ている。しかし、妻の横たわった身体に覆い被さるように、なにか黒っぽい影が見える。ギョッとしているうちに、影はスーーッと立ち上がる。天井まで届くほど背が高い人影だ。しかし、男なのか女なのかは判別ができない。影はゆっくりと滑るように動いて妻の上からどくと、そのままスーーッと寝室のドアから外に出て行く。
意識はいつもそこまでで、気がつくと朝になっているそうです。

「お前が夜、トイレにでも起きてて、俺が寝ぼけてそんな夢を見ているのかと思ってたんだけど。トイレになんか行ってないって言うし、俺も一週間続けてこんな夢を見てるしで、気持ちが悪かったんだ。ごめん」
夫はそう言って謝りましたが、そんな話を聞いた私は気が気ではありません。

それって私に何かとりついてるってこと？！とパニックになり、とりあえず盛り塩をしました。
塩が効いたのか何だったのか、その話をして以来、夫はパッタリと変な夢を見なくなりました。
しかし、私は助かったのか、それともまだその影はいるのか……。
ふと思い出しては、恐ろしくなります。