墓地裏の会社は吹き溜まり
投稿者:聖見 (2)
都内のある会社に中途採用で正社員として働いていた時のことです。
都心にあり賑やかな歓楽街がすぐそばにある立地でした。よく、坂が多く谷になっている地形は吹き溜まりが起こり、よくない瘴気がたまると聞きますが、そこの会社は低くなった土地から少し坂を上った場所にありました。
面接時にはあまり嫌な気持ちもなかったので働き始めました。
しかし、しばらく働いているうちに、トイレあたりがすごく空気が重く何度か気分が悪くなったことがありました。
実は、ちらほらフロア内で白いモヤのようなものを見たり、出入りをしていた営業の男性が、毎回何かを背負ってきているのも見えていました。
女子トイレの個室の壁から、白い手首がぶら下がっていたこともあります。
そして、なぜかそういう状況で、他の女子社員Aさんがそういった話が好きな人がいて、たぶんその女子社員Aさんも多少何かを感じていたのかもしれませんが、大げさにありもしないことをいって周りを驚かせて面白がっていました。
私としては、Aさんがはしゃげばはしゃぐほど、ざわめくというか、わざと妙な存在が動いているのがみえていてすごく気持が悪かったです。
しかし、せっかく入社した会社ですし、仕事内容も自分にあっていたので、実際に被害がなければ関係ないかなと、見てみぬふりをしていました。
すると、あるとき朝出社をすると男性の上司が、〇〇さん、と私の名前を呼びとめました。
直接の上司ではなく隣のフロアで座っている人で、あまり話したことはなかったので驚いていると、〇〇さん、実はみえてるでしょ、と言われました。
さらに驚いていると、Aさんはあんまり見えてないよね、でも騒ぐから彼女がよんでしまってるの、気づいてる?
と。
自分以外に見えている人とあまり話したことはなく、半信半疑に話を聞いていると、その男性社員から、このビルの裏に子供の無縁仏を扱う小さい墓地があったこと、でも都市開発でつぶされてしまったことを教えてくれました。
そして、その土地柄、やはり駅のあたりにものすごく瘴気が濃いので、営業男性は毎日背負ってきてしまうということも聞きました。
何故その男性が、私にその話をするのかと聞いたところ、〇〇さん、近親の男性が亡くなってないか?と聞かれました。
私の後ろにいる人が、一生懸命に、この会社を辞めた方がいいと忠告をしている、というのです。
その男性が話す、『後ろにいる人』は背が低くメガネをかけていて、と、私の亡くなった父の特徴をとらえていました。
普段あまりそういった人のいうことを信じないのですが、今回ばかりは恐ろしくなりました。
その後、その男性は体調を崩して会社をやめ、私もあとを追うように体調が悪くなり退職しました。
私の退職後、その会社はボヤ騒ぎがあり原因はAさんだったそうです。
正直、いまだにそこの駅にいくのは怖くて気が進みません。
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