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不思議体験

しんいちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

裏かくれんぼ 六の怪
短編 2026/08/14 20:35 93view

 先輩さんの家を飛び出した山下さんは、しばらく夢中で走り続けた。

 夜の住宅街を駆け抜け、気が付けばかなりの距離を離れていたという。

 だが、そこでようやく足の裏に痛みを感じた。

 靴を履いていなかった。

 慌てて立ち止まり、手に持っていた靴を履く。

 呼吸を整えながら辺りを見回した。

 暗い。

 静かだ。

 人もいない。

 その事実に、再び恐怖が込み上げてきた。

 とにかく明るい場所へ行きたい。

 そう思い、駅前のコンビニへ向かった。

 始発まではまだ時間がある。

 コンビニで時間を潰そうと思ったのだが、その頃はコロナ禍だった。

 長時間店内に留まることはできない。

 結局、山下さんは駅前の街灯の下で始発を待つことになった。

 寒かった。

 だが、暗い場所へ行くよりはずっと良かった。

 空が白み始めるまで、ほとんど眠れなかったそうだ。

 そして始発電車に乗り、自宅へ戻った。

 ようやく家に着いた。

 安心できるはずだった。

 だが――。

 無理だった。

 玄関を開け、部屋に入り、電気をつける。

 それでも駄目だった。

 一人でいることが怖い。

 狭い部屋が怖い。

 壁に囲まれた空間そのものが怖かった。

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