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呪い・祟り

老ニャクにゃんにょさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

笠地蔵
短編 2026/07/23 20:14 74view

江戸時代の末頃の話です。

ある貧しい男が、町で高級な洋傘を何本も盗みました。

しかし、男は貧乏暮らし。そんな高級品を持っていては、当然のように周囲から怪しまれます。買い手も見つからず、男は盗んだ傘を抱えたまま、途方に暮れていました。

諦めて家へ帰ろうとした、その帰り道。

突然、ひどい雨が降り始めました。

男は近道をしようと、荒れ果てた山道へ入ります。すると道端に、数体の地蔵が並んでいました。

どの地蔵もひどく汚れており、苔や蔓が全身に絡みついています。中には、顔や体にひびが入り、欠けているものまでありました。

男はその地蔵たちを見て、ふと思いつきました。

農村で語り継がれる「笠地蔵」の話です。

「へへっ……これで恩返しにでも来るかな?」

冗談半分にそう呟くと、男は盗んだ洋傘を何本か、地蔵たちに差しかけました。

そしてその夜。

男は、隙間風の吹き込む古い廃屋で眠っていました。

すると、夜更けに妙な音が聞こえてきます。

ズルッ……ズルッ……。

何かを引きずるような音。

そして、雨音に混じって、かすかな声が聞こえました。

「……ほしぃ……」
「……しぃ……ほしぃ……」

男は飛び起きました。

恐る恐る、ぼろぼろの障子の隙間から外を覗きます。

そこに立っていたのは――

昼間、傘を差しかけた地蔵でした。

苔まみれの体に傘を差し、こちらをじっと見つめています。

男は思いました。

「本当に……恩返しに来たのか……?」

その瞬間。

地蔵の口が、ゆっくりと開きました。

「欲しぃ……」
「もっと欲しぃ……」

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