何年か前ですけど、友人に誘われて行った村で”沼人間コンテスト”に参加することになったんです。
というのも、友人が「タダで飲み食いできるキャンペーンに当選した」なんて言ってきて、聞いたこともない地方の村に連れていかれました。
そこで話の通り、豪華な料理とか酒とかでもてなして貰ったんです、本当に無料で。
“沼人間コンテスト”に参加する人をもてなすのが、その村の風習って言ってました。
その時の僕は、”沼人間コンテスト”なんて知らずに飲み食いしてたんですけどね。
ちなみに、友人たちは知ってて、僕には黙ってたらしいです。
後で聞くと「3人以上が条件だったんだよ」と笑っていました。
正直、あの時は嫌でしたね、沼に入るなんて。
でも、もう存分にもてなされた後でしたし、「嫌です」なんて言える雰囲気じゃなかったんです。
まあ、入るって言っても、せいぜい膝くらいかななんて考えてました――寄生虫とか怖いですしね。
なんですけど、村の人の手で強引に沈められました。
もちろん、友人たちや他にも何人かの人が同じようにされてました――ひとりずつ順番に。
全身が汚れたのは当然でしたし、水も結構飲んでしまいました。
結果の発表があって、優勝って言われました。
けど、実感がまったく湧かなかったですね。
だって、僕は力ずくで沈められてただけでしたし。
でも、沼から出たあとはなんだか清々しい気持ちでしたし、沼が煌めいて見えました。
見たり聞いたりじゃなく、体験することって大事だと実感しました。
僕はその体験を通じて、沼が大好きになったんです。
それに、村の人はみんな笑顔でした。
お年寄りなんて、僕を見て拝んでましたよ。
その夜に参加者全体の大宴会に呼ばれました。
その日の料理もお酒も、最初にもてなされたものより何倍も美味しかったんですよ。
でも、他の人たちはなんだか浮かない顔をして口を押さえてましたね。
優勝できなかったのが、そんなに悔しかったのでしょうか?
僕は村の人たちから様付けで呼ばれたり、なんだか分からないけど感謝されたりしました。
あの村にとって、それだけ重要な行事だったんですね、きっと。
その後、休日には友人たちを誘って、全国各地の有名な沼を巡るようになりました。
僕はちゃんと沼に入りましたし、味見もしました。
なのに、友人たちは見てるだけだったんですよ。
「見るだけじゃダメだ、体験が大事なんだ」って何度も言ったのに……意味がわからないですよね。




























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