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ヒトコワ

Tochikaさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

拾うだけ
短編 2026/06/02 22:31 68view

「そういや、未婚に限るんだが――好きな子と確実に結婚する方法を思いついたんだ」
俺がうっかりと口を滑らせたのは、親友との酒の席でのことだった。

「面白そうだな、聞かせてくれよ」
親友はにやにやと俺を見ていた。

迂闊だったとはいえ、話を振ったのは俺だ。
俺だけの必勝法にするつもりだったが、観念して話すことにした。

「台湾に冥婚って文化があるのを知ってるか?」
「もちろんだ。 死んだ人の写真と遺髪を赤い封筒に入れて拾わせるやつだろ?」

「そう、それだよ。 意中の女を殺して、赤い封筒にその女の写真と遺髪を入れる。

あとは、自分で拾うだけだ」
我ながら完璧すぎて、自分でも頬が緩むのがわかった。

「おいおい、それはダメだ」
笑いながら手を振っていた――全然なっちゃいないと言いたげに。

「何がダメなんだよ! 完璧だろ!」
俺はつい感情的になってテーブルを叩いてしまった。

そんな俺の剣幕にも、親友は笑いながら話を続けた。
「あれは、縁のある相手だけが拾えるんだよ。
縁のないやつは何をやっても拾えない」

しかし、俺は理解できなかった。
「置いて拾うだけだぞ? できない理由がわからん」

親友は遠い目をして言った。
「俺だって、やるまではそう思ってたさ。
でもな、有り得ないことが何回も起こったんだよ」

「何回もって、お前……」
「なんだよ」
親友が怪訝そうに俺の顔を見た。

「見ず知らずの男のために、何回もお膳立てしたのかよ」
思わず笑ってしまった。
「うるせえ」と突き出されたグラスが俺のグラスを鳴らした。

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