わたしは霊能関係を生業としてるんだけど、一年くらい前に地方テレビ局の深夜番組から依頼があった。
その内容は『心霊写真の鑑定をして欲しい』ってやつだった。
撮影はうちでやることになって、当日にスタッフと挨拶したんだけど、ディレクターがなんかニヤニヤしてんの。
しかも、自称霊感持ちで、『本物なのは間違いないけど、詳細が分からないから見て欲しい』って言ってて、ことあるごとに『記念碑に顔がある』とも言ってた。
本題の写真はというと、何の変哲もない大学生のサークル旅行の記念写真。
ディレクターの言う通り、記念碑に男の顔があった――あまりに露骨に。
これが心霊写真だったとしても、特に何も憑いていないから無害だけどな。
ただ、あのディレクターはわたしに「何かが憑いてる」と言わせたいのは明らかだった。
つまり、偽物を見抜けない霊能力者を笑いものにしたいわけだ。
どうしようかと思ってたら、暇そうな幽霊がわたしの横に来て座った。
何やってるのかと思ったら、リポーターの女の子の谷間をじっくりと鑑賞してた。
ディレクターを見ると、何も気づいていないようだった。
そこで思いついた。
こいつを写真に憑けてやろうってね。
普段から暇そうに家の中をフラフラしてるやつだ。
たまには働かせてやろう。
そしたら、わたしも「これは悪質な霊が憑いてます」って堂々と言えるし、番組的にもシナリオ通りだろう。
こっそり交信したら割と乗り気だった。
ということで、「これは……確実に憑いてますね。 それも、かなり悪質です」って勿体つけて言っといた。
正確には憑けたんだけどな。
それを言った時、ディレクターが口元押さえてたけど、目元が完全に笑ってた。
リポーターの女が「何が起きるんですか?」って、胸を寄せて聞いてきたから煽りか?と思ったけど、身を乗り出す幽霊を見たらどうでも良くなって、「電気が切れたりします」って神妙な顔で伝えた。
彼女の答えは笑いながら「えーマジですかー」だった。
心霊番組でそんな軽い返事があるかよ。
――って感じで、なかなか酷い収録だった。
収録後にディレクターが『いやぁ、思った通り本物でしたか』とか言いながらニヤニヤ笑ってた。
「これは確実に憑いてます。神社でお祓いしてください」と真面目な顔で教えてやったのに、適当に流された。
撮影スタッフの帰り際、忘れずに幽霊を写真からディレクターに憑け替えておいた。
幽霊のやつが『女の方がいい』とか言い出したけど、そんなものは無視した。
その数日後、あのディレクターから電話がかかってきた。
『あの収録後、ありえない頻度で会社や家のブレーカーが落ちる。業者に見てもらっても原因がわからない。霊障としか思えない。加工したから霊を怒らせたのか?』とか騒いでた。


























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