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意味怖(意味がわかると怖い話)

志那羽岩子さんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

売れ筋
短編 2026/02/24 19:52 71view

質屋のショーウィンドウに、管楽器が並んだ。

トランペット、サックス、トロンボーン、チューバ。磨かれた真鍮が、冬の陽に鈍く光っている。その隣に、猟銃が数挺。銃身は黒く、楽器よりも静かだった。

「客層がちぐはぐだな」

通りすがりの男が言う。

「そうでもない」

店主はガラスを拭きながら答えた。

「まず誰かが楽器を買う。たいていは越してきたばかりの家族だ。子どもが音を出す。窓を閉めても、意外と響く」

男は曖昧にうなずく。

「すると数日後、別の客が来る。楽器には目もくれず、銃だけを見ていく。用途は聞かない。うちは質屋だ」

店主は銃を一本、そっと並べ直した。

「で、その銃は売れるのか」

「売れるとも。だが面白いのはそこじゃない」

店主はショーケースの端を指で叩いた。

「銃が売れると、今度は防犯カメラが質に入る。次に防音材。引っ越し費用のための腕時計。弁護士費用のための指輪。順番は違っても、だいたい同じだ」

男は顔をしかめた。

「何が起きてるんだ」

店主は肩をすくめる。

「知らない。ただ、並べるだけだ。楽器と銃は、よく動く」

そのとき、若い夫婦が店に入ってきた。父親らしい男はトランペットを手に取り、母親は価格札を見ている。店主は微笑んでケースを開けた。

通りの向かいでは、別の男が立ち止まり、銃の列をじっと見つめていた。

ガラス越しに、二組の視線が一瞬だけ重なった。

質屋は静かに帳簿を閉じる。

売れ筋は、決まっている。

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