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心霊

死堂鄭和(シドウテイワさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ここから出してくれよ
短編 2026/01/19 23:10 67view

これは、エレベーターの管理会社に勤める中川さんから聞いた話です。
中川さんの会社は、市内に十数か所ある契約物件のエレベーターを24時間体制で管理・保守しています。
エレベーターに必ずある【非常時に押すと管理会社の担当者につながります】っていう非常ボタンを押してつながる先が中川さんの会社なのです。

24時間体制なので、夜中でも2人の当直担当が常駐しており、中川さんも月に10日ほどは当直担当を担っていました。
とはいえ、夜中に連絡が来ることなんてそう多くはありません。
大抵は何もなく朝を迎え、たまに電話が鳴ったかと思えば酔っ払いがイタズラで非常ボタンを押したなど、非常事態でない事がほとんどでした。

しかし、その日に鳴った電話は非常事態を知らせるものでした。
真夏の夜中2時に差し掛かろうという頃、オフィスの電話が鳴りました。
この会社では、エレベーターからの非常通報の場合、着信音でわかるよう設定しています。
中川さんが電話に出て
『こちら○○セキュリティです、どうしましたか?』

と言うと、電話の向こうからかなり慌てた様子の女性の声が聞こえてきました。
「あの!地震でエレベーターが止まったみたいなんです!助けてください!」

このビルは建物が古く、エレベーターに通話機能はついててもカメラはなかった。
受話器からは不安で震える女性の声が聞こえる。
どうやらエレベーターが緊急停止し閉じ込められたようでした。
中川さんが電話越しに操作盤のすぐ上に書いてある管理番号を聞き、もう1人の当直担当に救助担当の別部署へ連絡させました。

緊急通報から20分ほどして、救助班が現場の雑居ビルに到着したと連絡が入りました。
エレベーターは2階のフロア前で止まっていたので、ドアをこじ開けて中の女性を救助するとのこと。
閉じ込められた女性はパニックになっているのか、ドアをドンドンと強く叩く音が受話器越しに聞こえたので
『ドアをこじ開けますのでドアから離れてください!』
と中の女性に伝えたのですが、信じられない言葉が返ってきました。

「私はドアから離れています!でも…誰かがドアを叩いてるんです!私しかいないのに!!」

すうっと血の気が引くのがわかりました。
この女性が言うにはエレベーター内は自分1人しかいないのにドアを叩く何かがいると言うのだ。
中川さんは一刻も早くこの女性を救出しなくてはいけないと思い、救助班にすぐ作業を開始してもらうよう伝えた。
救助班の作業開始から20分後にエレベーターの扉は開かれ、女性は無事救助されました。
救助班から、女性に外傷は見られないがかなりパニックになってはいるので、念の為に手配した救急車で病院に搬送するとの報告を受け、オフィスに安堵の時が訪れました。

救助班からエレベーター内には誰も残っていないことと、危険なので使用禁止の処置をとる旨を伝えられほっと胸を撫で下ろした。
中川さんは、電話がエレベーターと繋がったままになっているのに気付いて通話を切ろうとしました。
ところが、その瞬間確かにそれは聞こえた。
「なあ、俺もここから出してくれよ」
受話器の向こうから低い男の声で中川さんに訴えかけた。
驚いた中川さんは『もしもし!誰かいますか?!もしもし!』
と受話器から呼びかけたが返事はなく、受話器の向こうからは何の応答も返ってはこなかった。

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