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心霊

どこかで見た話さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

女にされた日
短編 2025/12/08 23:42 6,422view
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 夜の玄関に足を踏み入れた瞬間、
 わたしは息を吐き出すようにして鞄を落とした。
 今日は、ほんとにしんどかった。
 彼氏とのすれ違いが限界で、胸の奥がきしむように痛む。

 声をかけられたのは、その時だった。

「……その顔、どないしたん?」

 振り返ると、あいつがいた。
 家に勝手に入った理由なんて説明しないのに、
 なぜか怒る気にもならないほど、
 柔らかく笑っていた。

「それは彼氏さんが悪いわ。
 俺なら、そんな思い絶対させへんのにな」

 その言い方が、心の弱いところにそっと触れてくる。
 涙の出そうな浅い傷口に指を滑らせて、
 「大丈夫やって」と笑うみたいな、
 反則的な優しさ。

「お前は妹みたいなもんやからさ。
 でもそんな顔、見てられんわ」

 ――妹みたい。
 いつもそう言うくせに、距離は近すぎる。

 耳の後ろに触れる吐息が熱くて、
 痛みよりも先に身体の力が抜けてしまう。

 慰められてるのか、口説かれてるのか。
 どっちかなんて考える前に、
 わたしはもう、甘さに沈みかけていた。

 その夜。
 布団の中にいても眠れずにいると、
 ふっと、耳の奥で声がした。

「また考えてんのやろ。
 疲れんでええねん、預けたらええ」

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関連タグ: #事故物件#声#記憶
コメント(3)
  • あんまり思いますか:..”.

    2025/12/09/08:44
  • すごいですね

    2025/12/09/10:29
  • もう少しだけシチュエーションの細かい説明があったら怖さ倍増ですね。自分が侵食されて
    ゆく恐怖ってホラー好きにはたまりませんわ。

    2025/12/09/20:51

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