小学生の時に体験した話をしてもいいですか?
その頃、本当に辛いことが多くて。
愛犬のメメを亡くしたのが始まりでした。
メメは白いレトリバーで、優しくて可愛い子でした。
いつも一緒にお昼寝してました。
私が辛い時、そばに居てくれて、慰めてくれて。
身体は大きいくせに、怖がりで、よくほかの犬に吠えてはお母さんに「弱い犬ほどよく吠えるもんね」とか言われたりして。
親友であり、兄妹でもあって、とにかく特別な存在でした。
老衰でメメが亡くなって、毎晩泣きました。
しかも、私の大好きなおばあちゃんも、メメが亡くなってから、2ヶ月くらいで亡くなってしまいました。
私は立て続けに、大事な人を2人も亡くしてしまったんです。
亡くなったのは父方の方で、とっても優しくて、穏やかで
本当に大好きだったなぁ。
欲しいものはなんでも買ってくれて、たまに遊びに行くと、たくさんお菓子を出してくれて、悩み事や愚痴なんかも全部聞いてくれました。
お父さんが人目もはばからず泣いていたのを、今でも覚えていますよ。
お母さんはおばあちゃんとあんまり仲良くなかったから、お母さんだけはどこかホッとしたような、複雑な顔をしていましたけどね。
それで、メメと祖母が亡くなってからしばらくして、お父さんが私にぬいぐるみをくれたんです。
犬のような、クマのような、とにかく可愛らしいぬいぐるみでした。
「この人形はな、サヤカが寂しくないようにって、おばあちゃんが作ったものなんだ。」
ぬいぐるみを抱いて、また夜通し泣きましたよ。
そのぬいぐるみからは、ほのかにおばあちゃんの香りがするもんだから、余計に涙が出ちゃいました。
ぬいぐるみはメメに似てましたし、きっと、おばあちゃんが一生懸命、メメに似せて作ってくれたんでしょうね。
私は、そのぬいぐるみをメメやおばあちゃんだと思って、生きていこう。そうすれば、きっと寂しくなんかないって、そう思い込むことで、自分を保とうとしました。
まあ、お母さんはずっと、気味が悪いからやめろとか、言っていましたが、そんな酷いことよく言えますよね。
当時、お母さんのことは……うん。あんまり好きじゃなかったかも。
それで、不思議なことに、そのぬいぐるみから、時々、おばあちゃんの声がするんです。
「サヤちゃん。今日は学校どうだった?」























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