そうはっきりと聞こえたんです。
初めはびっくりしましたけど、怖いなんて感情はなかったです。そればかりか、またおばあちゃんに会えたんだと思ってしまって。
思わず涙を流しながら、その日あった出来事を、ぬいぐるみに向かって話しました。
「好き嫌いはしちゃダメよ。」
「宿題はちゃんとしなくちゃね。」
「そのお菓子昔から大好きだもんね。」
「サヤちゃん。おばあちゃんは、ずっとずっとここにおるよ。」
気がつけば、家にいる間はずっとそのぬいぐるみと話すようになってました。
ですが、だんだん、ぬいぐるみの様子がおかしくなっていったんです。
「サヤちゃん。まだここにいてくれ」
「まだいかんでくれ」
「サヤちゃん。」
「サヤちゃん。」
「サヤちゃん。外に出たい」
「一緒に行こう」
「サヤちゃん。」
今思えば、ちょっと必死?な感じでしたかね。
私はと言うと、必死に、ばあばの言う通りにしなくちゃって、そう思い込んでいたと思います。
外に行きたいと言われたら連れていき、言われた通りのところに行きました。
家の裏の空き地ですとか、
人の少ない公園ですとか、
路地裏の小さなお地蔵さんのところとか。
色んなところに行きました。
だんだん、行動範囲が広くなっていって、大変でしたけど、ばぁばとの時間はとても幸せで、満たされる気持ちになって、毎日、ばぁばと外出してました。
そんなある時、いつものようにばぁばと外に出てる時の事です。
「サヤちゃん、今日はもっとあっちの方に行きたい」
「そっちそっち、そう。もっと、もっと遠くに」
「いい子だね。」
「サヤちゃん。」
























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