私が高校時代の夏休みに体験した話だ。私は行きつけの古本屋でルシアン・ネイハムの「シャドー51」とフレデリック・フォーサイスの「戦争の犬たち(上下巻)」と倉田悠子の「麻衣・夏の扉」を購入した後、昼前に自宅に帰った。私はテレビをつける。大体この時間は二時間ドラマの再放送ををやる位だ。昼時はカップラーメンを食べながら渡瀬恒彦の「十津川警部」や「検事・朝日奈耀子」や「税務調査官・窓際太郎の事件簿」の再放送を見るのが習慣になっていた。だが、始まったのは「みんなの怖い話」というオカルト特集をしていた頃のアンビリバボーのパクリと思わしき番組だった。司会者は出てこず、ナレーションのみという奇妙な番組であった。まず、最初に「心霊写真」であった。
「心霊写真」はお坊さんがベロを出している写真であった。舌が地面までついている。ナレーションは
「いやー、怖い怖い~。さあ次のコーナーに行ってみよう~」
と棒読み口調で話す。次は「恐怖の心霊体験」というコーナーであった。
第一話
東京の新橋には魔女狩り一家が住んでいる、魔女狩り一家は1989年に宮崎勤事件が起こると、オタク(魔女)を手あたり次第、処刑した。白昼堂々、オタクを鉄パイプや金属バッド袋たたきにして、ナイフでオタクの首を切り落としたという。魔女狩り一家はオタクたちの生首を竹やりで串刺しにして、新橋の町中を街頭パレードをしていた。パレードを行っていた魔女狩り一家は
「魔女をやっつけた!魔女をやっつけた!」
と歓声を上げながら、首のない遺体をあちこちに引きずって回ったという。近隣住民は「セイラムの魔女狩り一家」「新橋のアビゲイル一家」と恐れていたという。警察は魔女狩り一家の報復を恐れて取り締まらなかった。未だに新橋にて魔女狩り一家はオタクを魔女と決めつけて殺しまくっているという。
第二話
ある女性は家族と住んでいた。毎晩、家の前にピンク色の霊柩車が止まることがあるという。女性はそのピンク色の霊柩車でノイローゼ気味になっていた。ある日、家族は女性を置いて、親戚の家に行ってしまった。女性が一人の時、ピンク色の霊柩車は来ていた。ドンドン、扉を叩く音が聞こえる。女性はドアの方を見る。そこには家族の生首を持った男たちだ。女性は恐怖のあまり、後ろを振り返る。そこにはチビハゲデブで全裸の中年親父が立っていた。中年親父はニヤニヤしながら
「お前が霊柩車に乗るんだよ!」
第三話
投稿者Aさんが中学生時代に援助交際していた時にある初老の男性から聞いた話。男性は警察官で今は定年退職していた。男性が若いころに、三億円事件が起こっていた。これは警察の極秘情報であるが、三億円事件の主犯格は和歌山カレー事件の「林真須美」であるという。Aさんは男性になぜ、三億円事件の犯人が「林真須美」であるのか?を問いただした。それは警察署にチビハゲデブのおっさんがやって来たからだ。チビハゲデブのおっさんは
「三億円事件の犯人は「林真須美」だ!さっさと「林真須美」を逮捕しろ!」
とタレコミをしてきたのだという。警察のお偉いさんはチビハゲデブのおっさんの話を信じなかったのだ。それどころかチビハゲデブのおっさんを嘘をつくことだけが取り柄の狼少年、精神異常者呼ばわりしたのだ!男性は嘆いた、警察は腐敗している!こんな勇気あるチビハゲデブのおっさんの告発すら信じないなんて!俺は絶望したこれが日本の警察なのか!と男性は頭を抱えていたという。また、「林真須美」が逮捕された際も三億円事件について言及しなかったという、いや、警察の不祥事に関わるため、この事実を隠ぺいしたのだ。と男性は語った。後日、男性はトラックにはねられて死んだのだという。
第四話
体験者Bさんのアパートにダンボールが郵送された。
「なんなんやろ?これ」
Bさんはダンボールを開ける。するとBさんはダンボールの中に吸い込まれた。部屋の天井から黒服の男が出てくる。黒服の男はダンボールを抱えて、窓をぶち破り、姿を消した。その後、Bさんを見た者はいない。
「段ボールの話、四八のパクリじゃね?」
私はあまりのつまらなさに唖然した。ナレーションは
「いやー、怖い怖い~。さあ最後のコーナーに行ってみよう~」
と棒読み口調で話す。次の「恐怖の事件簿」というコーナーであった。
今回のエピソードは田舎の小学校の先生が当直していた時、旅の者と思わしき老人がやって来た。老人曰く
「いいか、よく聞けチンピラ。わしをここ(小学校の当直室)に泊まらせろ」
との事であった。深夜、当直室で寝ていた先生は目を覚まし、老人の方を見た。老人は少女の書かれた絵を見ていた。老人はニヤニヤとその絵を眺めている(そして、先生はアホらしくなって寝た)。次の日の朝、老人はいなくなっていた(布団はたたまれてあった、この時、先生は老人は出て行ったんだなと思った)。早朝、地区の住民たちは騒然となっていた。先生は住人たちにいったい何があったのかと聞いてみる。
「女の子が行方不明になった。女の子は老人に声をかけられるところを目撃した。それ以降行方不明なんだ」
話はそれで終わった。ナレーションが出てきて
「いやー、怖い怖い~。次回の放送も見てね」
と全裸のおっさんが暗黒舞踊している映像とEDテーマ(稲垣潤一の「ドラマティックレイン」であった。おそらく無断使用である)が流れ、「みんなの怖い話」の番組は終了した。スタッフロール?そんなモンなかった。























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