実家帰省を促されているのですが、ワケあって帰りたくありません。そのワケについて、皆さんの考えをお聞きしたいです。
私の実家は近畿地方にある平屋の一軒家です。ただ、周囲の住宅と比べて天井が少し高いのです。祖父母の代に建てられたもので、母曰く、建築の際にどうしてか祖父が「天井を五人分の高さにしてくれ」と頼んだそうです。
五人分と言っても実際は5メートル程度しかないのですが、それにしても他と比べ天井が高いのは間違いありません。
問題はここからなんですが、その天井をふと見上げると稀に赤い風船が飛んでいることがあるんです。これは小さい頃からずっとで、私以外誰にも見えないようです。天井が高いので取ることも出来ず、眺めているうちに消えるのが通常でした。
これだけならまだ良かったんです。
3年前に実家帰省をした際、事件が起きました。
その日は実家に到着した瞬間から風船が見えていました。というのも玄関の扉を開けた瞬間、目の前に赤い風船があったのです。
風船は咄嗟に避けた私の頭上を浮遊して、外へ出ていきました。風船は外に出ないと思っていたので驚きましたが、母が呼ぶ声でつい家の扉を閉めてしまったんです。
風船を閉め出してしまったと気づいたのは昼食の時、リビングの窓の外、こじんまりとした庭に風船が浮かんでいるのを見た瞬間でした。窓越しに宙に留まった赤風船が見えたのです。ジッと見られているようで気味が悪く、無言で見つめる時間が続きました。
すると風船はゆっくり、ゆっくりと下がり、低い生垣を飛び越えて隣家の屋根上に浮かびました。
その直後です。
バチン!と耳元で爆発音がしました。風船が破裂したような音。
思わず叫んだ私を心配する母を他所に、窓の先で赤い切れ端が落ちました。隣家に降りかかるようにヒラヒラと落ちるそれは、赤い風船の名残であるとすぐにわかりました。
その日のうちに救急車が隣家の前に止まり、後日母との連絡で小さい頃からお世話になっていた隣家のおばさんが亡くなったと知りました。この時にお祓いにでも行っていれば良かったのかもしれません。
その日から、実家帰省する度に耳元で風船が破裂するのです。頻度は実家帰省するにつき一度、なんの前触れもなく唐突に。
そして毎回近所の人が亡くなりました。人が亡くならなかったかと思えば、犬や猫が家の前で死んでいたこともありました。
最後に実家帰省したのは1年前です。母から「最近あまり来ないと寂しい」と連絡があり、やむをえず帰りました。それが最後です。
それから、寝ている時、職場で同僚と話している時、歩いている時……風船の破裂音が聞こえるようになりました。
その度誰かが死にます。死なない時は、家の前に死骸が落ちています。
実家帰省したくありません。母の死因が自分なら、私はもう耐えられません。























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