私が小学生の時の話。
当時住んでいた場所には、入場無料の文化センターがあって、子供や老人の憩いの場になってました。
よく友達と集まって、ゲームなんかをして遊んだものです。
文化センターでは、時折催し物が開催されてました。
例えば習字のコンテストだったり、水彩画のコンテストだったり。
それらに応募した作品が展示されている事もあって、子供ながらに見て楽しんでいたのを覚えています。
さて、ある日「押し花コンテスト」なるものが開催されていた時の事です。
何の気なしに見ていた作品の中に、見覚えのある名前がありました。
私の名前です。
私の名前、苗字+名前で二文字しか無いんですね。例えるなら「関 優」みたいな。
それぞれ単品ならよく見かけるけど、この組み合わせは自分以外見た事がなかったから、驚きましたよ。
ただ、当時はまだ小学校中学年。
「わー、おんなじ名前の人がいたんだぁ!」くらいのぼんやりした感想しかありませんでした。
それから暫くして、家に私宛の小包みが届きました。
それは文化センターからの荷物で、開封してみると「押し花コンテストの作品返却と最優秀賞の景品」だったんです。
小学生でもさすがにおかしいのは分かりました。
私は押し花コンテストに応募なんてしていませんから。
親も不思議そうにしていて、一応「おんなじ名前の人の押し花が飾ってあった」と伝えると、何かの手違いか間違いじゃないかって話になって、文化センターに直接出向いて、事情を聞いてみようって事になったんですよね。
で、親と一緒にセンターの職員さんに話を聞いた所、間違いなく私の名前と家の住所で作品が応募されているとの事。
ただ、年齢と性別が違って、20を過ぎた男性からの応募だったんだとか。
名前も、男女どちらでもあり得るような名前だったから疑問に思わなかったと言ってました。
結局、押し花は返却して、景品は「宛先不明のような状態だからよかったら貰って下さい。何かあったらこちらからご連絡します」って事で話は終わったんですが、親が随分ピリピリしまして。
当時はよく分かりませんでしたが、今なら分かりますよ。
未成年の娘の名前を騙っての応募、住所も知られてるとなれば、不安にもなります。
えっとですね、なんで今更こんな昔の話を思い出したかと言いますと、最近転職してきたおじさんに、こんな事を言われたんですよね。
「ねえ、優ちゃん。あの押し花、まだ持ってる?」って。
























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