これはボクの同級生のお父さん、ボクの代でPTA会長もしてくれた人が体験した話。仮にAさんとしておこう。
Aさんはコンビニの店長で、その日も入れるバイトさんがいなかったため、深夜1人で店番をしていた。
この日は何やらパトカーの音が騒々しく、付近はものものしい雰囲気に包まれていた。
深夜から早朝に差し掛かろうかというタイミングで、駐車場へ車が入ってきた。
駐車場から1人の男が歩いてきて、入店する。
男は棚からペットボトルのお茶を1本取ると、それだけをレジに持ってきた。
Aさんはそれを受け取ってレジへ通そうとしたのだが、その男の格好を見てぎょっとした。
服に赤黒いものがベットリとこびりついていたのだ。
ハロウィンにはまだ早い夏だったこともあって、異様な雰囲気を感じる。
しかし男は至って平然としていて、財布を開けてお金を払おうとしていた。
(ここで騒いでもし勘違いだったらただでは済まない。それに万が一の時刺激をしてしまってはまずい)と思ったAさんは、できるだけ動揺を表に出すことないように会計を済ませた。
男はお茶を受け取ると、そのまま何事もなく店を出て、車へ乗り込んだ。
(やっぱりただの勘違いだったか)とAさんは安堵のため息をついたという。念の為警察へ連絡をした。
その日の日が明けてから、ニュースを見ていて言葉を失った。
先ほどの男が大量殺人犯として警察署に出頭したというのである。
補足しておくとボクの実家の近くで全国的にも有名な大量殺人があった。
その男が犯行直後にAさんのコンビニに寄ったのである……。
その後Aさんも事情聴取を受けたそう。
もちろん、特に証言するようなこともなかったようだが。
猟奇殺人をする人間は犯行後妙に落ち着いている、というのはよく聞くことだが、今回の犯人も果たしてそうだったわけだ。
サイコパスは常人には理解できないからこそ怖いのである。
























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