あるトンネルで列車の火災事故が起こった
十年以上前の事だが
忘れようにも忘れられない記憶として残っている
その頃はビデオの報道カメラマンを目指して助手をしていた
カメラマンと現場に急行すると警察が非常線のロープを張って
消防隊と救急隊員以外の出入りを規制していた
でもさすがにベテランのカメラマンは違う・・・
「俺から離れるなよ」
と言うとどんどんトンネルの奥に入って行く
必死でバッテリーライトを当てた
何しろカメラマンはこの悲惨な光景を撮り続けているんだから
ビデオテープを1本撮り終えた頃になると
ようやくあたりを見る余裕が生まれた
緊張感がほぐれたのかもしれない
地面には消防車が巻散らした水が流れ
あちこちに水たまりが出来ていた・・・
何気なくその水たまりを見ると・・・・
「何だこれは?!」
水たまりに人の顔・・・・
まさか?!いやっ間違いない人の顔だ
あそこの水たまりにも、こっちの水たまりにも
顔・・顔・・顔・・顔・・顔・・顔・・顔がゆれている
「よし次行くぞ!」
カメラマンは何ごともなかったかのようにトンネルの奥へと進んで行く
「あっあのぉー水たまりの中に顔がっ・・」と言いかけるとカメラマンは
「一人前の報道カメラマンになる気なら気にするな」
この日以来報道カメラマンになる夢は挫折した
忘れられないわけが分かったろ?
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