「あなたを呪いました。」
たった一文しか書かれていないハガキがポストに投函されていた。
宛名は確かに私の名前だったが、消印も差出人の名前もないハガキだった。
誰かのイタズラだろう、人騒がせな……私は一人そうつぶやいたが内心は穏やかではなかった。
他人の怖いなはしを読むのは好きだが、極度の怖がりなのだ。
家のドアをくぐり一息ついたら代々お世話になっている寺に電話を掛ける。
「お祓いをお願いします。」先方と日時を相談してその日は何事もなく終わった。
お祓いの日は1週間後、一応何事もなく仕事しているが「呪いました」の不気味さを脳内で何度も反芻してしまう。
ごまかすために酒の量が増える。週の半ばごろには、二日酔いすら呪いの効果だと思うようになっていた。
さて、そんなこんなでお祓いは終わった。
住職にそれとなく聞いてみたが、霊感があるわけでもないし呪いのことはわからん。と取り付く島もない答えだった。
本当に効果あるのかな……などと失礼なことを思いながら帰宅しポストを覗くと見覚えのあるハガキが入っていた。
ウッと思いながら確認する。宛名は……自分だ、差出人と消印は今度もない。
裏は……「せっかくあなたの為に呪ったのに」
そうか、私は見知らぬ誰かに「まじなわれて」いたのか……
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どういうこと?
「呪い」は「のろい」とも「まじない」とも読めますね。私も最近知りました。「呪いました」とは「のろいました」ではなく「まじないました」ということですよね。