猫の幽霊と暮らしてます。いや、マジで。
私は実家暮らしで、両親と3人暮らし。
都内のちょっと外れにある、築45年の木造二階建て。
いろんな意味で古くて、ちょっとミシミシ鳴る床とか、お風呂場のタイルのヒビとか、「家、頑張ってんなー」って感じなんだけど、まあ居心地は悪くない。
で、猫。
正確に言うと、「いた」んですよ、猫。
名前はミル。白くて、尻尾が長くて。
人見知りでビビりなくせに、私が寝てると顔に乗ってきたりして、なかなかのかまってちゃん。
私が小学校3年生のとき、父が会社の裏で拾ってきて、それから15年一緒だった。
ミルは去年の秋、静かに逝った。老衰だった。
病院で「よくがんばったね」って撫でて、泣いて、火葬して、遺骨も小さな箱に収めて、全部終わったはずだった。
……なのに。
ある日、仕事から帰ってきたら、玄関の靴箱の上に白っぽい物が乗っててさ。
「……あれ?」って思って触ったら、ふっと消えたのよ。
え、こわって思うじゃん?
でもその日の夜、布団に寝てたら足元がポスンってへこんで、「……うわ、これ完全にミルの重さじゃん」ってなって。
怖いってより、「うわ、来てるな」っていう実感。
で、朝起きたら、私の枕元に猫の毛が落ちてるわけ。
黒いセーターにくっつくあの毛。
いや、いるじゃん。ミル、いるじゃん。
最初の数日は「私、病んでる?」って本気で疑ったんだけど、ある日、母が洗濯物干しながらポロッと、「なんか最近、ミルの鈴の音しない? ほら、チリンチリンって」って言ってきてさ。
あ、これ私だけじゃないんだって思った。
で、決定的だったのが、父。
夜にテレビ観ながら、焼酎飲んでたんだけど、急に「おーい、ミル、そこ通るなって!」って怒鳴ってさ。テレビの前を通ったらしい。
「見えたの?」って聞いたら、「見えないけど、あいつ絶対テレビの前を横切る癖あっただろ? 今、ちょうどその動きだった!」って。
幽霊っていうか、もう“生活してる”んだよね、完全に。
もちろん、透明だし、さわれない。
でも気配はあるし、音もするし、たまに布団の中に勝手に入ってくる。


























かわいそう
ほんわかする
私の実家の猫も、今年で17歳です。ちょっと怖いかもしれないけど、なんとなく温かい良い話ですね。