スキー場での思い出
投稿者:Precip.24 (1)
これは怖い話というより、ただただ可哀想な話なだけなのかもしれませんが、ここで吐き出させてください。
小学生の頃、毎年母とスキーに行っていました。地元では雪が降らないので、夜行バスで長野まで行き、夜にホテルで休んでから翌日は一日中スキー場で遊ぶ、というのが恒例行事でした。
そのスキー場は人が多くて賑やかで、陽気な音楽があちこちから流れるような場所でした。そんな中で楽しく滑っているときにふと、私はゲレンデのふもとの一角にバキバキに壊れたソリが散らばっているのを見つけました。そのソリはオレンジ色のプラスチック製で、私が滑っている間、親御さんが2〜3歳くらいの小さな子どもを乗せて滑っているのを何度か見かけたものでした。
近づいてみると、ゴーグル越しにだけ周辺の雪の上に赤い斑点が散らばっているのが見えました。その微かな赤い跡をたどっていくと、それはどうやらスキー用具を洗う水洗い場まで続いているようでした。
そして薄暗い水洗い場まで入って行くと、そこにはどう考えてもごまかせないほどのおびただしい量の血が水洗い場の床に広がっているのが見えました。おそらくは、そこで必死に血を洗い流していた誰かがいたのだと思います。あんなソリに乗るような小さな子供が出すにしてはどう見ても無事ではいられないほどの量の血が広がっていて、側溝の網から鮮血が滴っている光景が今でも妙に頭にこびりついてます。
子供ながらに一番怖かったのは、バキバキに割れたソリや血の跡や血まみれの水洗い場のそばにもたくさんの人がいたのに、まるで私以外にはそれが見えていないかのように徹底して無関心だったことです。誰も足を止めることなく、話題にすることもなく、忙しそうにその場を通り過ぎていく。理由はうまく説明できませんが、それが当時の私にはとても恐ろしく感じました。
それが原因というわけでもないのですが、あの日を最後に私はスキーに行きたいと言い出すこともなくなり、母もスキーに連れて行くことはなくなりました。
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