子供の霊が一番怖い
投稿者:琥珀 (5)
私が20代の頃にバーに勤めていた時に出会ったKさんという方の話です。
常連さんと一緒に来店したKさんは30代で背が高く清潔感のある好青年といった感じでした。俳優の要潤に似てました。
私が初めてKさんと店で会った時の事です。
Kさんはカウンターを挟んで正面に立った私を静かに見てましたが、突然カウンターを乗り出して私の顔の周辺に手を伸ばして鼻の寸前で拳を握りました。
まるで飛んでる蚊を掴む様な感じです。
殴られるかと思ってびっくりしたのですが、
Kさんの顔は至って冷静でした。
するとKさんと一緒に来店した常連さんが、
「おい、やめけよ」とKさんに言いました。
するとKさんは
「いきなりごめんね、君の周りがチカチカするから」と言いました。
「チカチカ?意味がわからない」と思いながら黙っていると、
続けて「遺品を部屋に置かない方がいいよ」と言いました。
私は「はぁ…」と曖昧な返事をし、内心は「厄介な客だなぁ、薬をやっているかもしれないから近づくのはよそう」と思っていました。
それからKさんとは会話をする事もなく、1時間ほどでKさん達は会計を済ませて店を出て行きました。店を出る時に一瞬Kさんとは目が合ったのですが、心配そうな表情で私を見ていました。その表情を見て私は「ひょっとして同性愛者なのかなぁ」と思った記憶があります。
その日の帰り道に「遺品」という言葉が頭の中にチラついていたのですが、思いたある節も無くいつの間にか忘れていました。
暫くして、休日に自分が働いているところとは別のバーに飲みに行った時に、何となく思い出して、女性バーテンダーにKさんと会った話をしました「なんか変な客が来てさぁ」といった感じで。
女性バーテンダーは、
「それってKさんじゃない?この辺じゃ有名人だよ」と言いました。
私はびっくりしましたが、女性バーテンダーは「Kさんにそう言われたのなら、ちゃんと聞いた方がいいよ、番号わかるから店に呼んであげるよ」と私の返事を聞く前にKさんに電話をしました。
暫くすると店にKさんが1人で現れ、私を見つけると「今晩は」と声をかけてきました。何気ない会話をしていたのですが、Kさんは物静かで自分からはあまり話さない感じでした、
意を決して
「あの〜遺品ってこの前言ってましたよね?思い当たる節が無いのですが…」
と聞いてみるとKさんは
「事故で亡くなった人のだよ」と言いました。
私は思い出しました、クローゼットの奥深くにある、電池切切れのGショック。バイク事故で亡くなった幼馴染の遺品。私の表情を見てKさんは「生前どんなに良い奴でも死んだら別人だよ、君を怨まないとは限らない」と言いました。小学校から毎朝一緒に登校し、親同士も仲が良かった幼馴染がまさか私に不幸をもたらすなんて微塵も思わなかったのですが、Kさんの話に何故か納得しました、説得力があるというか嘘をついている気がしないのです。
「どうしたら良いのですか?」と聞くと「家は近いの?今から取りに行くよ」とKさんは言いました。疑うとか、騙されてる?という事は全く考えず私は家にKさんを招き入れ、クローゼットを漁りGショックを渡しました。Kさんはジッと時計を見て「重いね、ヨイショ」と言って何事もなかったかのように帰って行きました。これがKさんとの出会いです。
その後、Kさんはたまに店に顔を出してくれたのですが、遺品の話は出ませんでした。
ある日、顔に青アザを付けたKさんが来店しました。アザは額から口元まで真っ直ぐに伸びていて、まるで棒で殴られた感じでした。
その時にはKさんとは気軽に話せる仲になっていたので、「Kさんケンカですか?」と笑いながら聞いたのですが、Kさんは「幽霊にやられた」と真顔で答えました。
私「どういう事ですか?」
K「あのね、幽霊って人を殺すよ」
さっきも書いたのですが、このKさんという人は嘘をついている気がしないのです。不思議なオーラがあるというか、上手く説明が出来ないのですがGショックの件もあり、私は疑いを持たずに話を聞きました。
北陸地方の話ですか?母親もKと呼んでいますが、Kは苗字ではありませんか?もし○サカという苗字なら、その人を知っているかもしれません。大病を患いましたが、今でもご存命です。
今日いちばんのよい話!
私の幽霊の見える知人も頻繁に幽霊は見るが、幽霊の声を聞いたのは数十年で一度だけ、と言ってましたねえ。
なんか知人と言ってることが似通ってるので信じちゃいますねこの話。
哀しくて怖いなぁ