「3つ目のねがいごと」
投稿者:黒いうさぎ (4)
私が小学校四年生の時。
近くのスーパーの2階にあった文房具屋さんに、友達のサキちゃんとマリコちゃんと集まるのが日課だった。
もちろん勉強に必要なノートや鉛筆なんかには全然興味がない。いろんな匂いのする消しゴムやカラフルで綺麗なペン、可愛いキャラクターものの小物なんかを、3人でいつも物色していた。
その中でも私たちが夢中になったのは「まほうつかいのアイテム」というシリーズだ。
よくある女の子の好きな「おまじない」につかう玩具で「すきなひとの名前を書くと恋が実るペン」だとか「まほうの水が入った小瓶」だとか、今思えば他愛のない代物だった。
ある日いつものように少ないお小遣いで小物を買ってお店を出た後、サキちゃんが「まほうつかい」シリーズの中の「ねがいごとが叶う紙」というのを取り出して私たちに分けてくれた。
「ねがいごとが叶う紙」は1パックに3枚薄いピンク色の紙が入っていて、その薄い紙に願い事を書いて水に溶かすと願い事が叶う、というものだ。
サキちゃんは3つあるから1つずつね、と私とマリコちゃんにそれをくれた。
お店も閉まって、さっそくサキちゃんの家に行って願い事をしようということになった。
外はもうすっかり暗かったけど、やっぱり「まほう」なんだから暗い方がムードが出るし、夜にひっそり子供だけで遊ぶというのはドキドキするものだ。
幸いサキちゃん家のお母さんは夜仕事でいないし、マリコちゃんの家も親は遅くまで帰ってこない。私のママもこの前生まれた妹にかかりきりで、私がちょっとくらい外で遅くまで遊んでても何も言わなかった。
とはいえ、さあ願い事をしようなんて言われてもそうそう思い浮かばない。3人でそれぞれひたすら考えてやっと出た願い事は、実にばかばかしいものだった。
私は「32色の色えんぴつがほしい」
サキちゃんは「びじんになりたい」
マリコちゃんは「じぶん1人のへやがほしい」
ほんとに叶うのかなあ、なんて3人で笑いながら、コップに入れた水に紙を入れると、消えるように一瞬で溶けて無くなった。今思えば溶けやすい素材を使っていたのだろう。
でも、私たちには魔法のように不思議に映った。
すごくいいですかなりゾクっとしました!
子供の幼少期の残酷性を上手く取り込んでますネ。
细思恐极
もしその願いが叶ったら…赤ちゃん……
上手い
子供って結構口で死ねとかいうけど願いが叶うとわかってから死を願うって…怖い
マリコちゃんの「自分一人の部屋が欲しい」も大人になってから叶ったんだね
マリコちゃんの「自分一人の部屋が欲しい」も大人になってから叶ったんだね
すげぇ……よくそういうところ気付けるなぁ
口は災いの元ってか(口じゃないけど)
マリコちゃんの「自分一人の部屋が欲しい」も大人になってから叶ったんだね
この一言が一番怖いんですけど 汗
すごい!新しいの楽しみにしときます!
紙は水に溶けても、心のしこりは一生溶けずに残り続ける、と
話の中に皮肉とちょっとした伏線も張ってあってよく出来てるなぁと感嘆しました。
お見事です!
出来すぎた話だけど、リアリティがあって秀作。分かってない人も居そうだから一応解説入れとこうかな。
サキちゃんは「美人」
マリコちゃんは「独り部屋」
それぞれ大人になってから叶った。
私ちゃんは「赤ちゃんが死」
妹は大学生になった=願いが叶ってない
最近子供が出来た
もう、分かるよね?
誰のあかちゃんがって指定されてないから呪いが返ってくるんだろな