【short_60】蜘蛛の釣り糸
投稿者:kana (210)
たわいもないけど、不思議だった話。(実話)
子供のころ、家族でクルマに乗ってドライブに出かけたんですが、
途中古い木造の小学校か、昔の役場のような、とにかくおかしなところに寄って、
何をするのかと思ったらウチの親がそこのおじさんに「ミミズ持ってっていい?」と聞いているのです。おじさんは二つ返事で「いいよいいよ」と言ってくれたんですが・・・
その後親たちが向かったのは、何かゴミ捨て場のようなところで、スイカを食べた残りだとか、藁くずだとか、そんなものが山のようになっている、それはもう臭いゴミの山でした。
今思うに、あれは「堆肥」を作っていたのかな?と思うのですが、見るとまぁそこにはミミズやらデッカイ蜘蛛やら、いろいろな気持ち悪い虫たちがいるわけです。
それを捕まえる親たち。ボクと弟は子供心に「うへー」となっていました。
再びクルマに戻って向かった先は、なんと釣り堀でした。
そう、釣りのためのエサを仕入れていたんです。
ボクも弟も自然の川で釣りをしたことはあったのですが、人口的に作った釣り堀というのは初めてだったので、ちょっとだけテンションが上がりました。
エサのミミズも自分でつけて、弟と並んで釣りを始めます。釣り堀の周囲には大勢の釣り客がいます。・・・が、そんなに釣れているようには見えません。だんだん退屈になってきました。だからボクはさっきの「堆肥」の所にいたデカイ蜘蛛の話を弟にしたんです。
「さっきの場所でさぁ、デッカイ蜘蛛いたの、見た?」
そう言った瞬間、ボクの釣り竿に引きがありました。「あわわ」慌てて釣り上げると、
それはけっこうなサイズのニジマスでした。周りの大人たちも助けてくれます。
一段落して、また餌を付けて釣り糸をたらし、さっきの蜘蛛の話のつづきを弟にしました。
「いや、あの、さっきのデカイ蜘蛛の話なんだけどさぁ~」
そう言ったと思ったら、また釣り竿がしなりだした。あげると再びニジマスである。
さて、三度釣り竿に餌を付けて投げ入れる。
(なんでさっきから蜘蛛の話をしたら釣れるんだろ・・・おかげで話が先にすすまない。でも、本当に蜘蛛の話をしたら魚が釣れるのか、今度はわざとやってみよう)
そう思って今度はわざとらしく大き目の声で弟に向かって「さっきのデカイ蜘蛛さぁ~」と、やってみた。するとなんと、またニジマスがかかったのだ。
・・・さすがに三度目ともなると怖くなってきて、ボクはそこで釣りをやめました。
だってそもそも他の釣り客がまったくヒットしないのに、ボクだけ3連チャンって・・・
蜘蛛の話をすると魚が釣れる。・・・皆さんも今度ぜひ、試しにやってみてください。
渓流解禁になったら、やってみます。
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