肝試しにて
投稿者:むる (2)
かれこれ30年近く前の大学生の頃、私は夕方から24時までK県にあるボウリング場で
アルバイトをしていました。
夏休みのある日、バイト先まで車で通っていた先輩のAさんから県内のKという灯台へ
肝試しドライブへ行こうと誘われました。
その日シフトに入っていたのは私とAさん含めて5人、その全員でK灯台へ向かうことになりました。
バイト先のK市から約1時間半のドライブ、テンションも良い感じに上がったところで
K灯台に到着しましたが、駐車場には多くの先客がいて肝試しといった感じでは無くなって
しまいました。
それでも海沿いの遊歩道は街灯も無く、暫く進むと不気味な雰囲気のトンネルもあって
それなりに肝試しを楽しんでいました。
トンネルを抜けると一旦海から離れた車道に出て、暫く道なりに進んだ先から今度は
切り通しのような道を通って最初の駐車場に戻ろうとしました。
その途中、戦時中の砲台跡だか防空壕だかがあったのですが、そこに差し掛かった時にBさんが
「頭から血を流した女の人の霊がこっちを見ている」と言いました。
しかしBさん以外の4人は何も見えていません。
とは言え気持ちの良いものではありませんので皆早足になっていました。
するとBさんが「どうしよう、着いて来ちゃってる!」と軽くパニックになってしまい、
それと同時に全員駆け出して駐車場を目指しました。
駐車場に着くとまだ10台ほどの車が残っており一先ずは落ち着きましたが、
取り敢えずここを離れようとすぐに車を出して貰い、10分ほど走ったところにあった
コンビニでようやく一息つけました。
Bさんは気分が悪いと車から出ずに車内で休んでいましたが、私たち4人は缶コーヒーを購入して
煙草を一服しながら「いやぁ、ビビったな」なんて暫く雑談していました。
気がつけば既に4時近く、すっかり落ち着きも取り戻しそろそろ帰ろうかという事で帰路につき、
皆Aさんに家まで送って貰ってお開きとなりました。
そのまま何事もなく過ごしていましたが、肝試しの日以来1週間振りにAさんと同じシフトに
入った時にAさんからゾッとする話を聞かされました。
当時Aさんは実家で両親と同居していたのですが、帰宅するやいなや玄関まで父親が飛んできて
「お前何をやらかした!」とAさんを怒鳴りつけたそうです。
何も心当たりが無いAさんが言葉に詰まっていると、
「警察から『顔中血塗れの女性を天井に乗せて走っている車がいる、と通報があったので
ナンバー照会したところ息子さんの車だった』と連絡がきた」と言われたそうです。
そう言われても全く心当たりはないし、父親と一緒に車を確認しても凹みや血痕は見当たらなかったそうです。
警察へ連絡し、家に来た警官にも車を確認して貰ったけど何も問題は無かっとの事。
読みやすいし面白かった。
こういう話を読むと、中古車を買うのはやめよう、と思いますね