愛のカタチ
投稿者:オムライス (1)
「いや~、あいつらあの時のまんまだったなぁ~」
俺は高校の同窓会に出てきた。ただ」一番合いたかった人は来なかった。来ないことは分かり切っているのに。
それは初恋の相手のサキだ。彼女は俺たちの卒業式当日に車に撥ねられて亡くなった。卒業式後に告白をしようと思っていた俺は突然の訃報にただ後悔してしまった。もっと早くこの気持ちを伝えておけばよかった、と。
サキとは高校2年の時に生徒会で知り合いサキが会長、俺が副会長といった立ち位置だった。始めは頭の良さそうな清楚系でお堅い人なんだろうと
思っていたが、意外にもやんちゃな一面があり、掃除用具入れに入って驚かして来たり、俺の水筒の麦茶をセンブリ茶に入れ替えられたこもがあった。俺はそんな彼女の一面にだんだん惹かれていき、いつしか好意を寄せていた。そんな彼女が何故亡くなってしまったのか。卒業式前日も「卒業式で一発ギャグかましてみようかな!」とやんちゃぶり全開だったのに。
サキが死んでしまった理由を考えている内に「そういえば…こんな会話したよな…」とふいに思い出す。あれは卒業式の4日前、教室で小説を読んでいた時サキが俺の肩を叩いて「何読んでるの?」と聞いてきた。そのとき読んていた小説は当時流行っていたラノベで、俺はその登場人物のある女の子が好きだった。女の子は主人公の男と相思相愛だったが敵の攻撃から主人公を守って瀕死になってしまう。その時に「死んでもあなたを思っています」と言い残し亡くなる。主人公もその女の子を思い、1人結ばれることなく彼女への愛を誓うのだった。
今の俺の状況がその主人公にそっくりなのだ。俺は彼女を忘れることは無いだろう。
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