顔のようなもの
投稿者:真昼のプログラム (19)
「それから夜間は周辺エリアが物騒なのでくれぐれも窓を開けないでくださいね」
不動産屋から言われた最後の言葉が気になったが、
都内の駅近でスーパーとドラッグストアが5分圏内の場所にあるアパートが見つかってよかった。
ただ言われたことが気になっていて…
引越は明るい時間帯に済ませ入居後しばらくは夜間の外出も控えるようになったが、
2,3か月経った頃にそんなこともすっかり忘れていた。
ある風が強い夜、「トントン」と窓を叩かれた音がした。
何か飛んできて当たったのかなと気にせず寝ようとしたら20~30秒刻みで叩く音が繰り返されるようになった。
気になってカーテンを開けると1メートルほどの顔みたいなものが摺りガラス越しから見えた…
咄嗟に声を上げると窓を叩く音が強くなりガラスを割らんとする勢いで顔のようなものを押し当ててきた。
どうしたらいいわからずに狼狽していると突然インターフォンがなった。
恐る恐る出てみると
「隣に住んでる山田(仮名)ですけど窓に何かいますよね?」
「なんでわかるんですか…?」
「うちの部屋にも以前来たのですよ。とりあえず盛塩もってきたので窓際に置いてください。」
「こんなので追い払えるんですか?!」
「信じてくださいとしか言えないですね。あと念のためお札を…」
その時はなぜそんな準備がいいのか聞かなかった。
言われた通りに盛塩を置いてお札を握りしめながら毛布にくるまっていたら明け方にはいなくなっていた。
が窓を見るとくっきり顔のような跡が付いていた。
安全を確認すると最低限の荷物を持って友人の家に転がり込んだ。
もうこのアパートで夜を越せる自信がなかったため、すぐに引っ越す手続きをした。
それから引越当日に遅くなってしまったが、
あの夜のお礼を言うために隣人を訪ねると山田と名乗った人は住んでいなかった。
顔(の)ようなもの、かな?
(゜Д゜)。
誤字警察の方ありがとうございます。
怖いい