鏡祟り
投稿者:けー (3)
ある晩,町に住む若い女性Aが友達Bと一緒に廃墟となった古い屋敷に興味津々な様子で足を踏み入れた。その屋敷は昔、裕福な一家が住んでいた場所で、何十年も前に謎の事件が起きて以来誰も住む者がなかったと言われている。
Aたちは暗い廊下を進み、古びた階段を上った。屋敷の奥にある部屋に入るとそこには古びた鏡があり、Bは興奮気味にその鏡を見つめ写真を撮りたがったがAはなぜか不安を感じていた。
その時、Bが興奮冷めやらぬ様子で「これで帰って写真を見たらきっと何か不気味なものが写りこんでるよ!」といった。
しかし、Aは何かが違うことを感じていた。Bがシャッターを切った瞬間、鏡には彼女たちの姿が映ったが一瞬だけAの影が違った姿勢で立っているのが見えた気がした。
帰り道、Aはその不安な感覚を振り払おうとしたが、何かがおかしいことに気づいた。Bが写真を見て笑っている中、Aの姿だけが何故かぼやけ、不明瞭だったのだ。
それからというもの、Aは毎晩同じ悪夢にうなされるようになった。悪夢では、古びた鏡の前で自分の姿を見つめると、鏡の中の彼女が異なる歪んだ姿に変わっていったのだ。
そしてある晩、Aは悪夢の中で鏡の中の異なる姿が自分に向かって微笑んでいるのを見た。目を覚ますとAの体には不気味な影が広がっていて、それ以来彼女は元の自分に戻ることはなかった。Bはその後、彼女が行方不明になったという噂を聞くだけで彼女の姿を見かけることは無かったという。
そして、廃墟の屋敷では、時折、夜になると窓から不気味な光が漏れ出し、誰かが遠くで微笑んでいるような気配が感じられたという噂が後をたたなかった。
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