ジュンちゃんちでのお泊り
投稿者:すもも (10)
短いけど私が体験したちょっと怖い話です。
中学の頃、ジュンちゃんという女の子とよく遊んでいました。
私とジュンちゃんは同じ町内に住んでて、両親は共働き、そして当時流行ってたアイドルの趣味も同じという事もあって、気が付いたら仲良くなっていました。
今の時代だと共働きは珍しくありませんが、当時は物騒な事件もあってか子供だけで留守番をさせる事に抵抗がある時代で、私は所謂鍵っ子でした。
それでジュンちゃんと出会ってからは両親が夜遅くなりそうなときは大抵どちらかの家に厄介になっていました。
これが男女だったら王道的展開で運命的な幼馴染になるんでしょうが、生憎と私とジュンちゃんは同姓で異性愛者なので甘い展開はありません。
その代わり、今でも忘れられないトラウマを刻むことになります。
その日、私の両親が二人とも仕事で夜遅くなる事が分かると、母はジュンちゃんのお母さんに連絡を取っていました。
しかし、珍しくジュンちゃんの両親も帰りが遅くなる見込みだったらしく、この日初めて互いの両親が夜遅くまで不在にする瞬間が被ってしまったのです。
「ねえ、〇〇ちゃん」
「なあに?」
私は学校でジュンちゃんと放課後以降どうしようか相談していると、ジュンちゃんは楽し気にこう言いました。
「明日休みだし、今日は私の家に泊まらない?どっちの親も帰りが遅いみたいだし」
私は二つ返事で了承しました。
私がジュンちゃん家に厄介になるにしても、いつ帰るか分からない親を待って夜遅く家に帰るより、そのままジュンちゃん家に泊まった方が色々とお喋りもできて楽しく過ごせる。
ジュンちゃんの両親も子供が夜遅くまで一人にならないで済むし、至れり尽くせりです。
「いいね、それ」
こうして私達は昼休みに学校の電話を借りて、互いの両親に『ジュンちゃん家お泊り計画』を話すと簡単に許可をもらえました。
ただし、夜更かしをしない事や歯磨き等はちゃんと済ませてから寝る事など、細かい事を色々と言われましたが、修学旅行みたいで少しワクワクしていました。
放課後、一旦自宅に戻った私は私服に着替えて一泊分の下着やパジャマを鞄に詰め込み、マンガや雑誌といった娯楽にお菓子なんかも用意してジュンちゃんの家に向かいます。
「ジュンちゃんお待たせ」
「いらっしゃい」
出迎えるのはジュンちゃんだけ。
今この家に大人はいません。
私とジュンちゃんだけの根城となったジュンちゃん家。
私たちはさっそくリビングにいって推してるアイドルの録画を何度も見かえしたり、雑誌を見てキャーキャー言って騒いでいました。
晩御飯は簡単なレトルト食品を用意してくれていたので調理工程も無くサッと済まし、お風呂も一緒に入って時間短縮。
当時週末のゴールデンタイムでやってた音楽番組に間に合わせると、ジュンちゃんと二人でソファに座り、好きなアイドルを観賞しました。
最高だ。最高の一日だ。
同じ趣味趣向を持つ友達とこうして二人っきりで時間を過ごせるのがここまで楽しいとは思っていませんでした。
これはトラウマですね…
大人が居ないのを知ってやってきた何者かなのでしょうか
じゅん!?
怖いですね。不思議な事ってあるんですね。