深夜の踏切
投稿者:take (96)
短編
2023/03/21
21:08
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知り合いのKさんから聞いた話です。
彼はフリーランスで在宅仕事をしています。
夜に作業するので、昼夜逆転の生活が当たり前なのだそうです。
その夜もいつものように仕事をしていて、一区切りついたので、休憩しようと思いました。
小腹が空いたので何か食べようと、キッチンを見てみましたが、なにもありません。
ここ一週間くらい買い物にも行ってないからなあ、とコンビニへ出かけることにしました。
一番近いコンビニは電車の踏切を渡ったところにあります。
そこに差し掛かると、警報が鳴って遮断機が降りました。
郊外にあり、住宅街の中を通る踏切には、この時間はKさん以外誰もいません。
終電はとっくに終わっていますが、回送車や貨物列車が通ることはよくあります。
Kさんの目の前を、回送車が通過していきました。
遮断機が上がり、渡ろうとすると、ガアアア……と音を立てて、線路の上を何かが走ってくるのが見えました。
なんだろう、と思っていると、『エイサ、エイサ』と掛け声を上げながら、
体の大きな何者かがトロッコを引いて走ってきます。
トロッコを引くそれは、ふんどし姿の赤黒い肌をした筋骨隆々の坊主頭の男で、
トロッコには同じような姿をした、子供のように小さいものが何体も乗っていました。
Kさんは呆然と眺めていましたが、それは彼に目もくれず、通り過ぎていったそうです。
「もともと夜ってのは、人間以外のモノの時間なんだよなあ」
Kさんはそう言って笑いました。
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