悪霊に憑りつかれた会社の同僚
投稿者:キョンシーズ (11)
私は本当に何かに憑りつかれた人間を目の当たりにした事があります。
これは私が20代前半の時の話です。
当時私が務めていた建設業の会社に一人の新入社員が入社してきました。
佐々木さん(仮称・以下略)という当時20代後半の男性で、元々同じ職種で働いていた事もあり、仕事も的確にこなすうえにきちんとコミュニケーションも取れる様な至って真面目な人でした。
佐々木さんとはよく同じ現場に入り、年下の私が職長を務める現場でもテキパキと私の指示を仰いで一所懸命に仕事をこなしてくれるので、佐々木さんにはすごく好印象を持っていました。
そしてある日職場の飲み会が開かれて、勿論佐々木さんもその飲み会に参加しました。
私は目まぐるしく色んな席に移動して色んな人と酒を酌み交わしているうちに佐々木さんの隣に座って佐々木さんと乾杯をして、しばらくの間会話をしました。
すると佐々木さんが「俺最近彼女と心霊スポット行くのにハマっててさ」と言いだしました。
どうやら佐々木さんの彼女は心霊スポット巡りをするのが好きなようで、彼女に付き合って様々な心霊スポットに行っているうちに佐々木さん自身も心霊スポット巡りにハマってしまったのだとか。
私も10代の頃によく友人達と心霊スポットに行っていた事もあり、地元の心霊スポットの話で大いに盛り上がっていると「俺、明日彼女と”ヤバい心霊スポット”行ってくるんだ」と佐々木さんが言いました。
その”ヤバい心霊スポット”というのは地元ではかなり有名な場所で、私は行った事がありませんでしたが嘘か誠か、行くと異世界に迷い込んで帰って来られなくなると言われている様な場所でした。
「そこ、かなりヤバいみたいですよ。大丈夫ですか?」と私が言うと、「平気平気。心スポよく行ってるけど、一回もヤバい目に遭った事ないし」佐々木さんは笑いながらそう言いました。
この時は私も佐々木さんもあんな事が起こるなど、全く予想だにしていませんでした。
休日を挟み、週明けの月曜日。
私はいつもの様に出社し、現場に向かうために同僚達と準備をしていました。
そしてこの日は佐々木さんも同じ現場だったため、準備を済ませて他の社員と一緒に佐々木さんを車の中で待ちました。
しかし集合時間が過ぎても佐々木さんは現れませんでした。
遅刻など入社以来一度もした事が無かった佐々木さんが珍しく遅刻。
心配になった私は佐々木さんの携帯に電話をかけましたが、いくらかけても繋がらず、この日は佐々木さんが不在のまま現場に向かいました。
勤務態度が真面目な佐々木さんにしては本当に珍しく、この日は結局折り返しの電話すらもかかってきませんでした。
仕事を終えて会社に戻って部長や社長に聞いても会社の方にも一切連絡がありませんでした。
「このまま連絡付かない様なら、お前明日佐々木の家に行ってみてくれ」社長にそう言われ、翌日も佐々木さんと連絡が付かなかったため、私は現場を他の人に任せて佐々木さんの家に向かいました。
そして佐々木さんが住むアパートに到着した私は、二階に上って佐々木さんの部屋の呼び鈴を鳴らしましたが、いくら鳴らしても佐々木さんは出てきませんでした。
心配になった私がダメ元で佐々木さんの部屋のドアノブをひねってみると、何と鍵がかかっていませんでした。
「お邪魔しまーす。佐々木さんいますか~?」と恐る恐る歩を進めて部屋の中に入って行くと、佐々木さんがベッドの上で体育座りをして何かをブツブツと呟いていました。
突然目の前に現れたあまりにも異様な光景に心臓が止まる程驚いた私は一瞬固まりましたが、すぐに我に返り「佐々木さん!?大丈夫ですか?」と佐々木さんに駆け寄りました。
激しく揺さぶっても全くこちらを見向きもせず、ブツブツと何かを呟き続ける佐々木さんは、瞬きすらせずに生気の無い表情でただただ一点を見つめるだけ。
「おいッ!どうしたんだよ!」私は佐々木さんの異常すぎる状態に焦り、声を荒げて平手打ちをかましてしまいました。
私に平手打ちをくらい、ベッドに倒れ込む佐々木さん。
するとやっと私に気付いたかの様にこちらを見て「お~。どうした?」と生気のない不気味な笑みを浮かべて言いました。
佐々木さんが無事で良かった