お化け屋敷で消えたあの人
投稿者:蛭魔だるま (1)
夏になると、私は思い出す。小学校のときに行ったお化け屋敷の記憶を。
私はお父さんとお母さんとお兄ちゃんとお祭りに来ていた。
毎年来ているお祭り、屋台も似ているものが多く、だいたい周り終えた。
「いらっしゃーい、いらっしゃーい、世にも奇妙なお化け屋敷だよー。ほらほら、そこのお兄ちゃん、お嬢ちゃんお入りよ」
今年もお化け屋敷の前では元気な声の無表情なお婆さんが呼び込みしていた。
「ねえ、俺お化け屋敷行きたい。一緒に行こう!」
お兄ちゃんは私にそう言ってきた。
「えーでも怖いよ」
「大丈夫だって、俺にはこの光る指輪があるから!」
くじ引きで当てた光る指輪を見せてきた。
「うん、じゃあ…行く」
「ねーねー、俺らお化け屋敷行ってくる!」
「一昨年、二人とも泣いて全然進めなかったでしょ」
お母さんは呆れ顔でそう言った。
「今年は大丈夫だから!」
「おし、ほら、千円やるから、行ってこい」
お母さんはもうっと言ったがお父さんは笑っていた。
「行こうぜ!」
「うん!」
私たちは、自信満々に入ったものの、最初のお化けでつまずいた。
この角を曲がるとナマハゲのような鬼が立っている。その前をただ通ればいいだけなのだが、通れない。
「こんなの、作り物だよ!」
私は一人で進もうとするも、いるとわかっている鬼が「うぉおおお!」と驚かすだけですぐに定位置に戻った。
少しすると私たちの後ろから女子高生5,6人の集団が来た。
しかし、女子高生たちも最初の鬼でビビって動けなくなったようだ。
私たちは女子高生にもみくちゃにされ、後ろに押し出された。
外にいるお母さんたちが私たちに気付く。
「ちょっと、早く進みなさいよ」
お母さんたちは笑っている。
女子高生の集団もいなかったとか?
たかがら5、6人の女子高生にもみくちゃにされるとか、兄妹をどっかに連れてくつもりだったんじゃないか。