羽虫に噛まれて
投稿者:ぴ (414)
私は昔、虫を虐めるような残虐なことをしていたことがあります。
弱いものを虐めることに快感を抱いていたのか、アリの巣を水攻めしたり、いろんな虫を水の中に沈めて遊んだりしていました。
今考えると悪趣味だと思いますが、子供の頃だとそれが悪いことだと思いませんでした。
そういうことの積み重ねもあり、もしかしたら私は虫に恨まれていたのかもしれません。
ある日私は虫に嚙まれたのです。
それは小さな小さな羽虫でした。
でも私はその虫に噛まれて、三日三晩高熱に魘されることになりました。
羽虫は私が窓のところにいるのを捕まえたものでした。
すぐにたらいに溜めた水に落とそうとしたら、急に手にものすごい痛みが走ったのです。
「ぎゃあ」っと叫ぶくらいに痛くて、何なら歯の鋭い小動物に噛まれたような痛みでした。
私は慌ててその羽虫を跳ねのけると、羽虫は床にぶつかりました。
弱った感じでそのまま窓の隙間から外に飛んでいきました。
手を見ると手から血がだらっと出ているのです。
私はびっくりして、すぐに母親に「虫に噛まれた」と訴えました。
それから傷の手当てをしてもらうと、急激に体調が悪くなり、それからベッドに寝込みました。
次の日は学校があったけど、それは休ませてもらうくらいに高熱が続きました。
病院に行ったときに先生に何に噛まれたのかと聞かれて、小さな羽虫だったと正直に言ったのです。
でもそれを否定されました。
理由は羽虫にしたら傷跡がおかしいのだそうです。
まるで動物に噛まれたみたいな深い傷ができていて、血がだらだら出ているのが不審だったみたいです。
いろいろ話したけど、両親は羽虫の噛み跡と一致しないと何度も言われたみたいです。
この高熱でうなされている間に見た夢があるのです。
それは私が巨大なモンスターに虐められる夢でした。
時には水風呂に浮かべられて沈められたり、煮えたぎった熱いお湯に突き落とされたり、体を引きちぎられそうになることもありました。
そして最後にそのモンスターに食べられそうになりました。
私は必死になって逃げて、トンネルの向こうに抜け出します。
本当に怖くて怖くて、たまらない恐怖心を抱きました。
熱がやっと下がってきた夕方に、ふと気づいたらブンブンという音がしていたのです。
夢から覚めた私はなんとなく、その音の方向を見ました。
そしたら窓に虫がたかっているのにぎょっとしました。
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