レンタカー
投稿者:津々 (42)
僕が実際に体験した話です。
十数年前、僕たちは新婚旅行で関東のとある地域にいました。
なぜ関東かというと、僕たちは北海道に住んでいて、お互い好きなキャラクターがいる夢の国で新婚旅行は過ごそうと結婚前から決めていました。
しかし、1週間も夢の国にいると違うところも見てみたいという思いが出てきました。そんな時、TVで日光東照宮の特番が流れていて「せっかく来たのだから」ということになり、栃木県日光に向かうことにしました。
日光市には電車で向かいましたが、駅前からはレンタカーを借りることにしました。
時期が悪かったせいか観光地だからなのか、ほとんどのレンタカー店の車が貸し出し中でした。
その時、奥さんがスマホでレンタカー店を検索してくれていて、なんとレンタカーもまだ残っているという話でした。
二人で急いでレンタカー店を目指しました。ようやくたどり着いたお店は大手ではなく個人で運営しているような、はっきり言ってしまうとボロボロなお店でした。
レンタカーもワックスがけされた感じもなく、どことなく窓ガラス自体も曇って見えるほどでした。
しかし、ここまで来て日光東照宮に行かないわけにはいきません。
気に入る車ではありませんでしたが、中でもきれいな車を選んで日光東照宮へ向かいました。
車に乗ってすぐのことです。どことなく海のにおいがしました。
僕は妻に「なんか海のにおいするよね?」と聞くと、妻は「やっぱり気づいた?」とお互い認識するほど海の匂いがしました。
僕たちは、「車が汚いことや匂いのことは、数年後には笑い話になるね」とあまり気にしないようにしました。
走り始めて間もなく、車のカーナビの調子が悪くなりました。日光にいるのに東北のある地域に画面が変わるのです。
初めは気にしませんでした。
新婚旅行を嫌な思い出にしたくなかったからです。
ですが、車の不調は続きました。
突然ハンドルが利かなくなったりスピードが出なくなったりしてとても運転できる状態ではありません。僕たちは、不満が爆発してレンタカー店に電話をしました。
間もなくして、レンタカー店の従業員がボロボロな軽自動車を乗ってきました。
そして、従業員は私たちに「こっちの車使ってください」といい。ボソッと「やっぱりダメだな」といいました。
その言葉が気になり、僕は従業員に詳しく話を聞くことにしました。
すると従業員はあくまでも「こういうお店もある」というウワサ話として話してくれました。
「2011年3月11日に起きた出来事で、大量の車が水没しました。資金力がないところや悪知恵が働くところは安く車を買い取り少し直して販売したりするところがある」
という話でした。
私たちが借りたレンタカーもその手のものだったのです。
海の匂いや嫌な感じはそういうことだったと後から思いました。
駅から日光東照宮までは歩いていけますよ
東照宮ではなくいろは坂の上の華厳滝などに目的地を変えた方がリアルですよ。